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第1・第3四半期決算短信に添付される四半期財務諸表等に対する期中レビュー契約を受嘱しない場合の留意事項(お知らせ)(日本公認会計士協会)

第1・第3四半期決算短信に添付される四半期財務諸表等に対する期中レビュー契約を受嘱しない場合の留意事項(お知らせ)

日本公認会計士協会は、「第1・第3四半期決算短信に添付される四半期財務諸表等に対する期中レビュー契約を受嘱しない場合の留意事項(お知らせ)」を、2024年4月5日に公表しました。

「任意の期中レビュー契約を締結するかどうかは、あくまでも被監査会社が判断する」とのことです。

任意レビュー契約を無理強いするような事例でもあったのでしょうか。

なお書きでは...

「なお、監査人は、第1・第3四半期財務諸表等に対する期中レビューの実施の有無にかかわらず、年度の監査の一環として、リスク評価を適時・適切に見直し、監査手続に反映することが求められています(監査基準委員会報告書 315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」第7項参照)。年度監査品質の維持の観点から、適時・適切なタイミングで会社の状況や変化を把握するために、被監査会社と十分にコミュニケーションを実施してください。」

第1・第3四半期のレビューがなくなっても、年度の監査の品質を維持するようにということのようです。

「お知らせ」の後半では、「第1・第3四半期財務諸表等に対する期中レビュー契約の締結は行わず、期中レビュー報告書の発行も求めないものの、期中レビュー手続を実施してほしいという要望が生じる場合」の留意点を述べています。

5つ挙げていますが、以下のような当然の点も念押ししています。

「4.期中レビュー契約の締結を行わない場合、被監査会社に対して四半期財務諸表等に対する「保証」を付していると誤解させるような文書を提出してはならない。」

「5.被監査会社に対して、年度監査の一環として実施した監査手続に基づき報告等のコミュニ―ケーションを行う場合、期中レビューを実施したものと誤認され、また、期中レビューが実施されたと誤解されるような情報(例えば、四半期決算短信のサマリー情報においてレビューを実施した旨を記載するなど)を公表又は口外しないように被監査会社と十分に対話する。」

コメント一覧

kaikeinews
コメントをいただいて気付いたのですが、脚注2がちょっと変ですね。

「企業会計審議会「期中レビュー基準及び期中レビュー基準報告書第2号「独立監査人が実施する期中財務諸表に対するレビュー」参照」

企業会計審議会は、こんな報告書は出していないでしょう。(「期中レビュー基準」のあとの括弧が抜けている?)

また、細かい点ですが、半期(第2四半期)レビューの契約は結ぶわけですから、年度監査だけでなく、半期(第2四半期)レビューの一環として実施される手続を実施することに何の問題もないはずです。
kaikeinews
1は、正直言って、趣旨がよく読み取れませんでした。

第1・第3のレビュー契約を締結しないのに「期中レビュー手続を実施してほしいという要望が生じる場合」の留意点を挙げているのですから、そうした場合に、監査人がその要望に応えること自体を禁じているのではないでしょう(禁じるのであれば、禁じると書くべき)。そして、監査人が会社の要望に対応するということは、何らかの手続を行うことでしょう。

ところが、1では、「期中レビューの結論表明を目的とする期中レビュー手続に該当するような手続は実施できない」とあります。レビュー手続は「質問+分析+α」だとすれば、第1・第3四半期を対象に質問や分析を実施してはいけないのでしょうか。「期中レビュー手続を実施してほしいという要望が生じる場合」に、質問や分析を実施してはいけないという理屈がよくわかりません(「実施できない」という文言を禁止ととりました)。

レビュー手続全部ではなく「期中レビューの結論表明を目的とする」部分の実施だけを禁じていると解釈すべきなのかもしれませんが、そうすると、具体的にどの部分を指しているのかがよくわかりません。例えば、継続企業の検討は、「結論表明を目的とする」部分なのでしょうか。

2の「実施可能な手続」の意味も曖昧です。年度監査(半期レビュー含む)の契約のもとで実施可能(契約範囲に含まれる)という意味であれば、別途契約を結べば、「年度監査の一環として実施される監査手続(リスク評価手続及びリスク対応手続を含む。)」以外も実施してよいと解釈できます。それとも、年度監査の監査人としては、「年度監査の一環として実施される監査手続(リスク評価手続及びリスク対応手続を含む。)」以外は絶対的に禁止(別契約を結んで実施することも禁止)なのでしょうか。

1も2も、留意点の最初の部分に書かれているので、重要なものなのでしょうが、趣旨が読み取れなかったので、本文では取り上げませんでした。
通りすがり
4.や5.よりも、むしろ、「1.第1・第3四半期財務諸表等に対する期中レビュー契約の締結は行わず、期中レビュー報告書の発行も求められない中で、期中レビューの結論表明を目的とする期中レビュー手続に該当するような手続は実施できない。」、「2.実施可能な手続は、年度監査の一環として実施される監査手続(リスク評価手続及びリスク対応手続を含む。)に限定される。」の方が重要なのではないでしょうか。
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