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金融弱者を狙う「強欲の銀行カードローン」その実態(現代ビジネスより)

金融弱者を狙う「強欲の銀行カードローン」その実態

銀行カードローンの問題を取り上げた記事。「強欲の銀行カードローン 」(角川新書)という本の著者が書いています。

「銀行カードローンの残高は今年3月末時点で5.6兆円、この4年間で1.6倍にもなった。1998年3月末以来19年ぶりの高水準だ。一方で、消費者金融による貸出額は2000年代前半から減少を続け、ここ数年は2兆円台で横ばい傾向に。伸び悩む消費者金融を横目に銀行カードローンの急伸を支えたのは、消費者金融に課せられる厳しい規制が銀行には適用されないことだ。」

「たとえば、消費者金融は同業他社も含めて総額で年収の3分の1以下しか貸せないと貸金業法で定められているが、銀行は上限を気にせずに好きなだけ貸せる。実際に全国の銀行の大半がカードローンで年収の3分の1超を貸していたことが、朝日新聞のアンケート調査で判明している。

消費者金融は利用者の借り入れが単独で50万円、同業他社も含め100万円を超える場合は、収入証明書を提出させて確認することが義務づけられている。銀行は何の制約もないので、メガバンクも含む多くの銀行は収入を厳密に確認することもなく200万円、300万円と貸し付けていた。

さらに銀行カードローンのテレビCMが洪水のようにあふれていたのを覚えている人も多いだろう。消費者金融のテレビCMは毎月100本以下と決められているが、規制のない銀行は好きなだけ放送できる。

筆者が入手した民間調査会社のデータでは、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、新生銀行の3行が最近まで月150~250本というハイペースでCMを流しまくっていた。これでは銀行カードローンが消費者金融を凌駕できるのも当然だ。」

「衰退が進む消費者金融も、銀行カードローンの恩恵にあずかる。銀行には一見客を短時間で審査する能力がないため、審査ノウハウのある消費者金融などの貸金業者保証会社として組み入れている。私たちがカードローンでお金を借りるには、保証会社の審査を通過することが条件となっている。

銀行は保証会社に保証料を払い、貸し倒れたときのリスクを丸投げ。融資拡大が見込めない消費者金融業界では、銀行などのカードローン審査や債権回収で稼ぐ「保証ビジネス」が有望な生き残り策となった。」

こちらの記事によると、銀行カードローンを規制から外した根拠は特にないようです。

金融庁の「銀行カードローン対策」はあまりにご都合主義すぎる(現代ビジネス)

総量規制から金融機関を除外したのは金融庁だが、その理由が明確に述べられたわけではない。消費者金融問題に詳しい東京情報大学の堂下浩教授が当時を振り返る。

「政府が金融機関の債権を総量規制から除外した理由は、国会上程時、金融庁参考人の誰からも述べられていません。金融庁内で貸金業法の立法を進めてきた幹部が上梓した貸金業法の解説本で唯一、金融機関が除外された理由として、『社会的責任説明の大きい銀行はきちんと返済能力を審査し、貸金業者のような過剰融資はしない』といった主旨を示唆する程度で、不得要領です。結局、彼らは予見可能な新たな問題発生を先送りしただけでした」」

これも同じような趣旨の記事。

群がる銀行、カードローンの甘い蜜
超低金利時代、数少ない収益源の一つに
(日経ビジネス)

3メガバンクに金融庁が立ち入り検査 カードローン問題(朝日)

4040821866強欲の銀行カードローン (角川新書)
藤田 知也
KADOKAWA 2017-09-08

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