会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「選ばれる大学」としての生き残りにとってガバナンス強化は不可欠なのだが(現代ビジネスより)

「選ばれる大学」としての生き残りにとってガバナンス強化は不可欠なのだが

「学校法人」のガバナンス改革について、増田宏一・元日本公認会計士協会会長に聞くなどしている記事。

現在の進捗状況は...

「現在、審議が続いている「私立学校法改正案」が今国会中に成立する見通しで、2年後の2025年4月1日から施行される方向となった。財団法人や社会福祉法人同様、評議員会による理事会への監視・監督機能を強化するのが柱で、ワンマン理事長の暴走などを防ぐ体制の構築を狙う。2021年に表面化した日本大学の経営不祥事などで、学校法人のガバナンス強化が大きな課題になっていた。」

文科省の「学校法人ガバナンス改革会議」で座長を務めた増田氏にいろいろ聞いています。同氏は、国会審議に参考人として招かれ意見を述べたそうです。

「増田氏が「一歩前進」と評価するのは、理事と評議員の兼職を禁止している点。これまで理事が評議員を兼ねているケースが多く、事実上、評議員会は理事会の下部組織のような存在になっていた。兼務が禁止されることで、独立性が高まり監督機能が強化されるというわけだ。」

理事長が理事会によって選ばれる点も明記された。これまでは理事長が実質的に理事を選んできたことから、理事相互の牽制機能も働いておらず、理事長が圧倒的な権限を握ることにつながっていた。日本大学などで理事長に権力が集中していた理由もこうした制度上の問題が背景にあった。

理事会のチェック役であるはずの監事が理事会によって選ばれていた点も見直され、「評議員会の決議」が必要になる。また、解散や合併、定款(寄付行為)の変更には、理事会の決定に加えて評議員会の決議が求められる。

評議員会の位置づけは...

「増田氏が座長を務めた会議体では、評議員会を他の公益法人同様、「最高議決・監督機関」とするよう求めたが、これに大学経営者らが強く反発。結局、評議員会の議決が求められるのはごく一部の事項にとどまった。」

「さらに増田氏が不十分とするのは、数の上限は設けたものの、現職の教職員が評議員に就任できるとしている点。理事会が雇用権限を持つ「被雇用者」である教職員が評議員になると、理事会への牽制機能は果たせないと考えるためだという。」

学校法人の外部に、その学校法人の経営に関して立派な見識があり、人格に優れ、かつ、無給または少ない報酬でも責任を負うボランティア精神があるような人物が、おおぜいいれば、うまくいくのかもしれませんが、実際はどうなのでしょう。(文科省などの天下りが増えるだけかも)

少子化(出生数80万人割れ)→将来の入学志望者減→経営じり貧→組織の士気低下・人材流出→醜い内部紛争・不祥事、という未来しか見えないのですが...

当サイトの関連記事(「私立学校法改正案」閣議決定について)(末尾に改正案やその概要へのリンクあり)

学校法人関連記事。

前理事長が「図書館に所蔵していたバッハの自筆譜を勝手に売却…」上野学園大学、突然の“学生募集停止”のウラ側(文春オンライン)

「音楽界で活躍する卒業生は多く、盲目のピアニストの辻井伸行氏もその一人だ。国内でも屈指の伝統を誇る音楽大学の学生募集停止は、関係者にとっては突然の決定だった。

募集停止が発表された2020年は、新型コロナウイルス感染症の拡大が本格化した時期ではあったが、上野学園大学では4月以降教授会は一度も開かれず、募集停止について教員がいる前での事前の議論はなかったという。

関係者によると、教職員に対して説明が行われたのは、ホームページで発表される前日の7月21日だった。

学園側は4期連続で入学者数が減少したこと、学園の赤字で大学が占める割合が大きいことから大学を廃止すると説明した。その際、「風評被害」で学生が減少したと話していた。

しかし、その風評被害は「石橋家による経営が引き起こしたものだ」と、多くの関係者が語る。上野学園大学が廃止を決定するまでの経緯を見ていきたい。」

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