企業の内部留保が過去最高を更新したという記事。
「企業が蓄えたもうけを示す「内部留保」が増え続けている。財務省の法人企業統計によると、2015年度は377兆8689億円と前年度から約23兆円増加し、4年連続で過去最高を更新した。」
「15年度の法人企業統計は約276万社(金融・保険業を除く)の利益剰余金を算出した。内訳は製造業が131兆8841億円、非製造業が245兆9848億円。企業規模を示す資本金別では、10億円以上の約5000社で約182兆円とほぼ半分を占める。」
「積み上がる内部留保に政府は不満を募らせている。石原伸晃経済再生担当相は「経済を成長軌道に乗せるには、内部留保を設備投資や賃金の増加につなげることが重要だが、十分そうなっていない」と主張する。」
「大企業は今年の春闘で3年連続の賃上げを実現したが、伸び率は鈍化し、4~6月期の個人消費は0.2%増と低調だった。設備投資は0.1%減に沈んだ。政府は「アベノミクスによる円安効果や法人税減税で企業はもうけを増やしたのに賃上げや投資に回していない」とみている。
ただ、企業は内部留保をまるごと現金でため込んでいるわけではない。工場建設や海外企業買収などに充てており、内部留保は現金ではなく、工場や株式などに姿を変えた形でも存在する。法人企業統計によると、企業が持つ現金と預金は15年度に約199兆円と内部留保全体の半分強だ。
内部留保の使い道を正確に把握するのは難しいが、財務省の国際収支統計によると、日本企業が海外企業の買収などに投じた額を示す対外直接投資は15年度に16.8兆円と過去最高に達した。アベノミクスが本格化する前の12年度(9.7兆円)から大幅に増え、もうけを海外への投資に注ぐ姿がうかがえる。」
これ以上の法人税減税は必要ないのでしょう。
また、内部留保の使い方として最悪のものは、経営能力がないのに、海外企業を高値で買って失敗するというパターンでしょう(勉強代程度の金額ならいいのでしょうが)。海外企業の株主をもうけさせるだけで、他の誰の得にもなりません。
海外投資は、企業がやるのは本業を強化するのに役立つ部分にとどめて、投資家が直接、きちんとした経営をやっている海外企業の株を買う方がよいのでは。
なお、法人企業統計は、連結ではなく単独決算を集計しているようなので、海外子会社にため込んでいる留保利益(あれば)は把握されていないのでしょう。
東証1部企業、4年ぶり減益 円高響き、純利益22%減(朝日)
円安効果はもうなくなってしまったようです。
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