2022年11月8日(10時00分~12時00分)開催予定の企業会計審議会内部統制部会の会議資料などが公開されました。
資料は、40ページほどの事務局資料と委員名簿だけです。
論点ごとに、前回の会議での主な議論と、内部統制報告制度の見直しの方向性(案)を対比させた表が示されています。それぞれの論点に関連する基準等の規定も記載されています。
以下、資料より、「内部統制報告制度の見直しの方向性(案)」を抜き出しました。
【論点①】内部統制の基本的枠組み
ガバナンス、ERM、COSO等
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」において、内部統制とガバナンス及びERM(全社的なリスク管理)との関係を明記してはどうか。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「2.内部統制の基本的要素」において、COSO等を参考に内部統制の基本的要素を充実させるために考慮すべき事項は何か。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「2.内部統制の基本的要素」(特に(2)リスクの評価と対応)において、不正に関するリスクに関する記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
非財務情報
- 内部統制実施基準の「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」の「1.財務報告に係る内部統制の評価の意義」において、 「①財務報告の範囲」にサステナビリティ情報等の非財務情報を追加することについてどう考えるか。
・サステナビリティについては、開示や保証について今後議論されることを踏まえ、中長期的課題と位置付け、この点の重要性を前文で記載することが考えられるか。
・内部統制の基本的枠組みの中で、「財務報告」を非財務情報を包含する「報告」に変更することも考えられるか。なお、現行の金融商品取引法における評価範囲は、従前どおり財務報告に係るものとなる。
経営者による内部統制の無効化
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「3.内部統制の限界」において、経営者が不当な目的の為に内部統制を無視ないし無効ならしめる行為に係る記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「4.内部統制に関係を有する者の役割と責任」において、取締役会、監査役等などの記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
ITへの対応
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「6.ITへの対応」の記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」の「3.財務報告に係る内部統制の評価の方法」(特に、(3) 業務プロセスに係る内部統制の評価)において、ITに係る全般統制及び業務処理統制に係る記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
【論点②】経営者による内部統制の評価範囲
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」の「2.財務報告に係る内部統制の評価とその範囲」に関して、特に、「(2) 評価の範囲の決定」の記載を見直すにあたって考慮すべき事項は何か。
・数値基準、三勘定に係る例示を削除し、前文等で、これらを削除した理由及び今後の実務におけるこれらの数値基準等の利用を否定するものではないことについて、記載することが考えられるか。
・数値基準、三勘定に係る例示を存置しつつ、リスクベースの考え方の記載を充実させることも考えられるか。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅰ. 内部統制の基本的な枠組み」の「4.内部統制に関係を有する者の役割と責任」において、内部監査人の記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」の「2.財務報告に係る内部統制の評価とその範囲」、及び「4.財務報告に係る報告」等において、監査人との協議等の記載を充実させるために考慮すべき事項は何か。
- 上記に合わせて、内部統制報告書の記載事項を示した関係府令(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令)の改正を検討してはどうか。
【論点③】監査人による内部統制監査
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅲ.財務報告に係る内部統制の監査」等について、経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、内部統制監査の見直すべき点について、どう考えるか。
① 例えば、以下の事項等を実施することが考えられるか。
(i) 経営者と監査人の協議の促進
(ii) 監査人による経営者の評価範囲の妥当性検討における、財務諸表監査の監査証拠の更なる活用
(iii) 内部統制(監査)報告書における開示の充実(評価範囲、意見相違など)
② 監査人には、内部統制報告書の表示の適正性に関する意見表明に加えて、内部統制の有効性の評価の表明も求めることが考えられるか。
- 上記に合わせて、内部統制報告書及び内部統制監査報告書の記載事項を示した関係府令(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令)の改正を検討してはどうか。
- 内部統制基準の「Ⅲ.財務報告に係る内部統制の監査」の「4.監査人の報告」(特に(2) 内部統制監査報告書の記載区分)において、内部統制監査報告書等の記載を充実させるために考慮すべき事項(例えば、内部統制報告書の内部統制の評価結果において、内部統制は有効でない旨を記載している場合の取扱い)は何か。
- 上記に合わせて、内部統制監査報告書の記載事項を示した関係府令(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令)の改正を検討してはどうか。
【論点④】内部統制報告書の訂正時の対応
- 内部統制基準・実施基準の「Ⅱ.財務報告に係る内部統制の評価及び報告」の「4.財務報告に係る内部統制の報告」に、訂正内部統制報告書の記載事項や、前年度に開示すべき重要な不備が存在することを表明した場合の取扱い等を明記してはどうか。
- 上記に合わせて、内部統制報告書の記載事項を示した関係府令(財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令)の改正を検討してはどうか。
【論点⑤】上記以外の個別課題
(省略)
「② 監査人には、内部統制報告書の表示の適正性に関する意見表明に加えて、内部統制の有効性の評価の表明も求めることが考えられるか。」は、ダイレクトレポーティングのことでしょう。それも、議論の選択肢に挙がっているということになります。
内部統制監査については、財務諸表監査における内部統制の評価やテストとの関係に注意が向けられておらず、統合監査だという意識は希薄なようです。(最近の実務ではあまり強調されないのでしょうか。)
会議の模様はライブ配信されるそうです。
↓
https://youtu.be/Q9bNYKQdk4g