オリンパスが、過去の損失先送りを認めたという記事。
「オリンパスは8日午前、問題になっている過去の買収案件が、同社の有価証券含み損を解消するために使われていたことが判明した、と発表した。午後零時半に記者会見して説明する。同社では、これまで過去の買収案件にともなう過大な支出については「適切に処理しており、問題はない」と説明してきたが、過去に粉飾決算を続けてきた可能性が出てきた。」
「可能性」ではなく、明らかな粉飾決算です。開示に関しては、最終的には訂正報告書の提出になるのでしょう。
オリンパスのプレスリリース(PDFファイル)
「・・・当社が、1990 年代ころから有価証券投資等にかかる損失計上の先送りを行っており、 Gyrus Group PLC の買収に際しアドバイザーに支払った報酬や優先株の買戻しの資金並びに国内新事業三社 (株式会社アルティス、 NEWS CHEF 株式会社および株式会社ヒューマラボ) の買収資金は、複数のファンドを通す等の方法により、損失計上先送りによる投資有価証券等の含み損を解消するためなどに利用されていたことが判明いたしました・・・」
会計上は、このようなファンドをすべて連結し、金融商品会計基準を適用したうえで、過去の決算をやり直すということになります。たいへんな作業です。さらには、監査もやり直さなければなりません。
(ファンドを支配していなければ連結外ですが、その場合でもファンドへの投資額は時価評価になるでしょう。)
過去の決算は別として、仮に、買収取引に絡めた経理操作によりすでに含み損が解消されている(投資もすべて清算している)とすれば、現時点での貸借対照表に与える影響は、過大な買収価格や報酬のうち、のれんなどの資産に計上されている金額ということになります。
そうではなく、まだ、含み損を簿外で抱えたままであるとすれば、その金額も純資産に影響してきます。
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