書籍紹介のコラム記事。
「・・・筆者は、公認会計士に不心得者ばかりが多いというつもりはない。それどころか、こうした不正と真摯(しんし)に対峙(たいじ)しようとするプロも確かに存在する。
9月末に「不正会計 早期発見の視点と実務対応」(清文社刊)を上梓(じょうし)した宇澤亜弓氏はその一人だろう。筆者が宇澤氏と初めてお目にかかったのは今年1月のある日。火灯し頃になって取材を終え、別れ際に真剣な面持ちで「日本の資本市場を守りたい」という宇澤氏に、絶滅危惧種のイリオモテヤマネコに都会のど真ん中で出会ったような心持ちになった。
人の肩書や経歴はその人物の中身を表すものではないといわれるが、宇澤氏は例外ではあるまいか。公認会計士の資格を取得した後、大手監査法人勤務を経て警視庁捜査二課や証券取引等監視委員会で経済犯罪の掘り起こしに従事してきた経歴を持つ。粉飾決算を見抜くプロであり、これほど説得力が豊かなキャリアも珍しい。
粉飾決算は財務諸表のどこかにひずみや痕跡を残す。そうしたひずみや痕跡がどこにどのような形で表れるのかを綿密に分類し、そうした兆候を見かけたら何を怪しむべきかが記されている。さらにそこに不正会計が潜んでいるかどうかを確認するためには、どのような裏の取り方が有効なのか-といった具合に粉飾を未然に防ぎ、あるいは見破るためのプロの推理法やノウハウが惜しげもなく公開されている。」
監査法人の研修用にも適しているかもしれません。ただし、実際の会社名が出ているそうなので、怖くて使えないかもしれませんが・・・。
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