企業会計基準委員会が、退職給付債務の計算に使う割引率にマイナス金利を認めるかどうかを検討することになったという記事(3月4日朝刊)。
「日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)は、日銀によるマイナス金利導入を受け、退職給付会計の「割引率」の計算にマイナス金利の適用を認めるか検討する。企業は長期国債の利回りを基に割引率を決めるが、利回りがマイナスになった場合の計算法を示していなかった。企業会計の現場で戸惑いが広がっており、ASBJとして方針を示す。」
記事によれば、基準諮問会議を開催し、テーマとして決定した上で、来週以降、委員会で検討するそうです。
たしかに、割引率がマイナスというのは違和感があります。また、現時点では企業の銀行預金にはかろうじてプラスの金利がついているのですから、最悪、銀行預金で運用していれば、プラスの利回りで将来の退職金・年金を確実に支払うことができます。
しかし、年金資産(時価で計上されている)に含まれる債券の時価は、マイナス金利状況を反映した異常に高い金額になっているのですから、債務側だけ金利ゼロでとどめるというのは整合しません。また、マイナス金利が強まれば、銀行預金もマイナス金利になる可能性はあるでしょうし、そもそも、預金の安全性は国債より低いわけですから、銀行預金の利息が下限になるわけではないともいえます。
いずれにしても、企業会計基準委員会で専門家を交えて十分な議論をしてもらえると思います。しかし、2月決算会社には間に合わないでしょうし、3月決算にも間に合うのかどうか...。
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