シンガポールの会社が、日本ペイントホールディングスへの出資比率を約6割に引き上げるという記事。
「日本ペイントホールディングス(HD)(4612.T)は21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループが持株比率を39.54%から58.69%に引き上げると発表した。日本ペイントHDが実施する第三者割当増資をウットラムが引き受ける。取得金額は約1兆2000億円。」
第三者割当増資により、約1兆2000億円のキャッシュが、日本ペイントHGに入ってくるのかというと、そうではないようです。むしろ、1000億円の現金がウットラムグループ側に流れるというスキームとなっています。
「日本ペイントHDは調達した資金(実際には譲渡代金支払い請求権)に現金を追加し、総額1兆2851億円でウットラムグループと運営するアジア地域の合弁会社と、同グループのインドネシア子会社を取得する。これにより、ウットラムグループは、全ての塗料事業を日本ペイントに売却することになる。」
実質的には、ウットラムのインドネシア子会社や、合弁会社のウットラム側持分が、日本ペイントHDに現物出資されるということなのでしょう(形式的には債権の現物出資)。
増資の影響は...
「日本ペイントHDはウットラム傘下の2社に、計1億4870万株を割り当てる。割当価格は1株7970円。日本ペイントHD株は約45%希薄化する。払込期間は2021年1月1日から3月31日。」
会社のプレスリリース。「合弁会社やインドネシア事業の持分取得+親会社の異動」という説明になっています。
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当社と Wuthelam グループとで運営するアジア地域の合弁会社の持分追加取得、インドネシア事業の持分取得(子会社化)、第三者割当による新株式の発行及び親会社の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
「本件対象事業取得にあたっては、当社が本件対象各社の株式又は持分を取得いたします。「5.取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況」注記において後述のとおり、本件対象事業譲渡契約においては、本件対象事業取得に際して支払う対価(以下「本件対象事業取得対価」といいます。)の総額を 1,285,139 百万円とすること、このうち、インドネシア事業の取得対価の一部である 100,000 百万円については現金で支払い、残りの1,185,139 百万円については、NIL 及びFraser から当該譲渡代金支払請求権(以下「本譲渡代金支払請求権」といいます。)を出資の目的とする現物出資を受けることにより、本第三者割当による当社の株式の発行を行うこととしております。」
ウットラムの創業者やこれまでの経緯について。
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塗料販売のウットラム、日本ペイントの過半株を取得へ(AsiaX)
「日本の塗料最大手、日本ペイントは筆頭株主であるシンガポールのウットラムの傘下に入る。1955年に小さな塗料店を開業したゴー・チェンリャン氏は59年、日本ペイントから塗料販売の誘いを受け、62年に合弁の販売会社を設け、アジア全域で塗料ビジネスを展開。ゴー氏は日本ペイントの株主になり、持ち株比率を高め、今日に至った。
ウットラムは2013年、日本ペイントに対する持ち株比率を14%から45%に引き上げることを提案したが、拒否された。その後、第三者割当増資を通じ出資比率を高め、取締役も送り込んだ。現在、ゴー氏の息子のゴー・ハップジン氏が取締役に名を連ねている。」
今回、日本ペイントが実施する第三者割当増資をウットラムが引き受け、持ち株比率を39%から、グループ会社が所有する持ち株と合わせ58.7%にする。」
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