【徹底検証】海外子会社が利益を過大計上か(要登録)
富士フイルムHDのニュージーランド子会社における会計不正に関する比較的詳しい記事。
問題の会社(FXNZ)以外に、ニュージーランドに本拠を置く富士ゼロックスファイナンスというリース会社も絡んでいるようです。
「FXNZのこのリース会社に対する売掛金は09年に20億円ほどだったのが、13年には約100億円、15年には約160億円まで積み上がっている点も気になる。...
このデータを見たある公認会計士はこう指摘する。「売上高が20億円で赤字も出して資金力が乏しい会社にFXNZが巨額の売掛金を積み上げている状況は異常だ」
富士フイルムHD全体の会計情報を見ると、ニュージーランド事業のいびつさが際立つ。有価証券報告書によると、グループ全体で、複合機などのドキュメントソリューション事業の売り上げは1兆2000億円弱。そのうちニュージーランドはFXNZとリース会社の2社を足し合わせても約200億円と2%もない。
しかしリース債権を見ると、富士フイルムHD全体で2300億円程度に対して、ニュージーランドのリース子会社だけで330億円超を占める。全体の約15%だ。」
分析的手続で異常と気付きそうなものですが...。
不正会計発覚の経緯にも疑問があります。
「そもそも今回の不透明な会計処理が発覚したのは、16年11月に富士フイルムHDの監査を担当するあずさ監査法人が、FXNZの取引に問題があると指摘したことが発端だった。実はあずさは16年6月に新日本監査法人から交代したばかり。新日本は16年3月期まで東芝の会計監査を担当していた。あずさはこれまでの決算内容を精査していた過程で問題を見つけたとみられる。
ただ、取材を進めていくうちに、新たな事実も発覚した。15年にもFXNZにおいて、不適切な会計処理が表面化していたのだ。それは社員による内部通報によるものだった。富士フイルムHDはこの事実を認め、「内容を精査し、16年度以降は(不適切な会計処理に結びつくような)契約は見直した」としている。
こうした問題があったにもかかわらず、4月20日に富士フイルムHDが決算発表の延期を発表するまで、その事実が公にされることがなかった。少なくともあずさから指摘を受けた16年11月の時点で、経営陣は損失を認識していたはず。それなのに富士フイルムHDは17年1月末に公表した16年10~12月期決算でも、この問題を明らかにしなかった。」
あずさは監査人としての役割を果たしたのだといえそうですが、なぜ第3四半期のレビューを無限定で通してしまったのかという点は、説明が必要でしょう。
前任監査人である新日本に対する批判も書かれています。
「問題は富士フイルムHDや富士ゼロックスにとどまらない。220億円もの不適切な会計処理を見抜けなかった新日本監査法人にも説明責任がある。」
現地では政治問題化していたようです。
「実はニュージーランドでは地元経済誌「ナショナル・ビジネス・レビュー」が昨年9月にFXNZの会計処理問題を特集している。複数のFXNZ元社員が、社内で長年にわたり不正会計処理が行われていたことを暴露。「元官僚をFXNZの経営陣に招き、政府関係者と癒着して数々の巨額契約を勝ち取っていた」と明かした。
これを受けてピータース議員は、自身の選挙区であるノースランド地区の公立学校を調査。すると、それらの学校でも不可解な契約が交わされていたという。本来であれば36カ月で交換すべきコピー機の契約期間が84カ月と長く、従量課金のはずが実際には定額で、しかも使った分以上の金額を払わされていたという。
ピータース議員は公の場などでこの問題を取り上げ、大きな注目を集めた。重大不正捜査局(SFO)もFXNZに調査に入る事態に発展。だが同局は昨年12月に「重大な不正は見当たらない」として調査を打ち切った。」
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