国際財務報告基準解釈指針委員会 (IFRIC)は、仮想通貨保有は、無形資産の定義を満たしているという結論だという記事。IFRICの6月の会議で、そのような議論がなされたとのことです。(すでに報じられているかもしれませんが、当サイトではフォローしていなかったので取り上げました。)
「ロンドンに拠点を置き、国際財務報告基準(IFRS)を設定する機関であるIFRICは、6月21日(現地時間)付のほとんど知られていない文書の中で、仮想通貨の保有につき、無形資産の定義に合致すると結論付けている。その根拠は、仮想通貨が「(1) 所有者の元を離れ、個別に販売又は譲渡することができる、そして、 (2) 所有者が、決まった(もしくは確定することが可能な)量の通貨を受け取る権利を与えられない」ことである。
無形資産は、実体のない非貨幣資産として同委員会により定義されている。また、仮想通貨はエクイティではなく、所有者に契約上の交換の権利を与えるものではないと結論付けている。重要なのは、仮想通貨は実際には交換媒体ではないため、現金ではないということだ。
同委員会は、もし企業が「仮想通貨を通常の業務の一環として販売するために保有する」場合、仮想通貨は棚卸資産として計上される可能性があると付け加えた。」
韓国会計基準院(KAI)→韓国メディア→仮想通貨関連メディア→その日本語訳、というルートの情報であり、信頼性があやしいので、ASBJのサイトで資料を探しました。
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IFRIC Update 2019 年 6 月(PDFファイル)
この資料の11ページから13ページで、説明しています。
「委員会は、暗号通貨の保有は IAS 第 38 号における無形資産の定義を満たすと考えた。その根拠は、(a)保有者から分離して個々に売却又は移転することが可能であり、また、(b)固定数又は決定可能な数の通貨単位を受け取る権利を保有者に与えていないからである。」
「委員会は、暗号通貨が通常の事業の過程で販売を目的として保有されている場合には、IAS 第 2 号「棚卸資産」が適用されると結論を下した。IAS 第 2 号が適用されない場合には、企業は IAS 第 38 号を暗号通貨の保有に適用する。」
「一部の暗号通貨は特定の財又はサービスと交換に使用することができる。しかし、委員会は、現金が交換の媒体として使用され(すなわち、財又はサービスと交換に使用され)財又はサービスの価格付けにおける貨幣単位として使用されることにより、すべての取引が財務諸表において測定及び認識される基礎となるような暗号通貨は、委員会の知る限りでは、ないことに留意した。したがって、委員会は、暗号通貨は現時点では現金の特徴を有しておらず、暗号通貨の保有は現金ではないと結論を下した。」
日本の企業会計基準委員会の指針や、同委員会がIFRS解釈指針委員会が送ったコメントとは、異なる結論ということになります。(ASBJも、仮想通貨が現金だと主張しているわけではありませんが)
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「特に最近増えているのが、モノではなくもうけ話を持ち掛ける「モノなしマルチ商法」である。アフィリエイトなどの副業や仮想通貨、ファンド型投資商品を勧め、「友達を紹介すればキャッシュバックされる」などと言葉巧みに契約させる。だが、実際には説明されたようなもうけがあるわけでもなく、返金を求めても交渉が難しい、といったケースが相次いでいる。
国民生活センターによれば、29歳以下の若者におけるモノなしマルチ商法についての相談件数は2018年度では2481件と、2014年度の859件に比べて3倍近くにのぼる。
情報商材の相談も急増中だ。自称、“巨万の富を稼ぎ出したカリスマ”が広告塔として現れ、「誰でも簡単に必ずもうかる!」などのうたい文句でPDFや動画、アプリを高額で販売する、といったものである。同じく国民生活センターによれば2017年度の相談件数は6593件。一度購入すると、さらに高額なコンサルティングやセミナーを契約させる業者もいて、被害額が膨らんでいる。」
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