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堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~(東京商工リサーチより)

堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~

当サイトでも何回か取り上げた堀正工業(非上場)の倒産に関する詳しい記事。

同社は、7月24日に破産開始決定を受けています。

「粉飾発覚後、債権者は債権回収を急ぎ、相殺などがなされた後の負債は282億円(破産申請時点)だった。」

東京商工リサーチによると「史上稀に見る悪質な倒産劇」とのことで、粉飾に手を染めたきっかけに遡って解説しています。

もともとは、堅実な会社だったようです。

「1933年創業の堀正工業は、大手ベアリングメーカーのNTN(株)(TSR企業コード: 570384370、東証プライム)の代理店として成長した。経営姿勢について、ある金融機関は「固い企業」と評してきた。1980年代の年間売上高は30億円程度で推移した。

しかし、バブル崩壊後の1993年5月に前代表が就任して以降、業績が悪化した時期があった。資金繰りに窮した堀正工業は、取引先に支払手形の期日延期を要請したが拒否され、金融機関からも「利益が出ていない」ことを理由に追加融資を受けられなかった(破産申立書による)。」

「2003年、現代表者が社長へ就任した。破産申立書などによると、同氏は「融資を受けるためには利益が出ていることが必須」と考え、金融機関から融資を受けるために粉飾決算に手を染めたという。」

粉飾決算のやり方の概略が説明されています。税務申告用決算書も粉飾されたもので、毎年それなりの金額の税金を払っていたようです。実態どおりの決算書→税務用に調整した決算書→金融機関ごとにさらに調整した決算書、という流れのようです。

「粉飾決算の作成の手順はこうだ。まず正しい数字で決算報告書を作る。正しい決算では、損益計算書は赤字で貸借対照表は債務超過だ。このため、利益を計上できるように売上高を嵩上げする。これに連動して仕入額も調整し、借入金などの負債や貸付金なども改竄辻褄を合わせた申告書を税務署に提出した。

さらに取引金融機関に提出するため、各行ごとに借入額の異なる決算書を作成するなど、気の遠くなる作業を続けた。粉飾決算は遅くとも現代表が就任した2003年から継続的に行われた。」

借入金は、提出する先の金融機関に合わせないといけないので、つじつまが合うよう、微調整をしていたそうです。

「取引金融機関に提出された数多くの決算書のうち、1つには売上高こそ税務申告と差はないが、仕入や商品額を調整しており、売上総利益(粗利)や営業利益にズレが生じている。

借入明細は金融機関ごとに異なる借入金・支払利息を記載しなければならないため、営業外収益・費用で「バランス」を保ち、経常利益以下の項目は税務申告も金融機関提出の決算書もともに数字を合わせている。また、財務分析では、大きな誤差が出ない範囲の改竄にとどめている。」

直近期の決算書を東京商工リサーチが分析したものが載っています。

(東京商工リサーチの記事より)

金融機関向けには、資産のうちの相当額とそれ以上の借入金を簿外にした決算書を渡していたということのようです。

保険会社に勤務する人物の関与が疑われています。

「2008年9月期の取引金融機関は10行(社、以下同)だった。だが、毎年数行ずつ取引金融機関が増え、2022年9月期は54行(破産申請時は46行)に達した。TSRの取材に金融機関の担当者は、口を揃えて保険会社に勤務するX氏からの紹介がきっかけで融資取引が始まったと語る。

複数の金融機関によると、X氏は出身銀行の名刺を渡しながら、真偽不明のエピソードを交えて堀正工業を紹介したという。紹介を受けた金融機関は、堀正工業が手渡した決算書が粉飾されたものと気付かずに融資したケースがほとんどだった。

6月にTSRがX氏に直接取材すると、「詳細は会社が回答する」と話した。後日、保険会社は「粉飾決算に関与はしていないと話している」と回答した。」

決算はフィクションの部分が多くを占めていたようですが、金融機関から得た資金はリアルなものです。それはどこへ行ったしまったのか...

「粉飾決算で得た資金はどこに流れたのか。運転資金や赤字補てん、不動産の取得や代表個人、代表が100%株主だったり大株主に名を連ねる企業など疑いの声があがる先は多い。

実態の売上高からみて、運転資金などの需要は比較的少ないとみられる。不動産は収益物件の港区虎ノ門のタワーマンション、目黒区内の不動産、著名人が保有していた軽井沢の保養所、湯沢町の物件などがある。

税務申告した決算書によると、2022年9月期時点で、代表個人に33億7,800万円の貸付金、代表が関係する企業や親族などへの貸し付けを含めると、合計92億7,200万円にのぼる。堀正工業と直接の資本関係はないが、代表が大株主だったり代表を兼務する企業は保育所や飲食店、ホテル清掃など複数ある。一部企業では、一連の粉飾発覚後に代表をすでに退任している。

金融機関への返済や定期預金の積立、粉飾による税負担の増大などの資金需要には、新たな金融機関から資金を調達していたが、自転車操業だったことは明白だ。

資金の流出先や金額は今後、破産管財人の手で調査が進められることになる。」

今後は...

「破産申立書には債権者一覧が添付されている。金融債権者は北海道から九州まで全国の地域金融機関が並ぶ。さらに保険債権者として、数億円の債権額とともに保険会社が名を連ねている。

多額に及ぶ代表個人や関係する会社への貸付など流出した資金は回収できるのか。また、粉飾決算を指南していた人物やこれだけの金融機関と融資契約を締結できた理由などの解明も必要だろう。

一部の金融機関は、粉飾決算について捜査機関に相談することも検討しており、余波は広がる可能性もある。」

コメント一覧

名無し
教師いじめの長谷川雅代、コロナばらまき男伴充雅そして堀雅晴
雅が付く奴は人を不幸にするのか?(笑)
種を明かせば雅・正・昌・尚・聖などは朝鮮人好みの名だ。
金は掘って得る、砂金は江川で採る→朝鮮姓は金(キム)。
堀雅晴→金雅晴。朝鮮人が好む「雅」と「晴」がある。
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