日産ゴーン事件のケリー氏の刑事裁判(3月3日に地裁判決予定)の記事。
これまでの裁判の経緯とかがまとめられています。
その中で会計処理についてふれている部分。監査法人も登場します。
「10月16日の公判では、09~14年度の未払い報酬の累積分について、ケリー被告からインセンティブ制度を使って支払うよう指示され、計約8000万ドル(約92億円)を計上。しかし、国税当局の税務調査で詳細を質問され、説明できないため計上を取り消したと明らかにした。
理由については、税務調査前に監査法人からインセンティブ制度の支給対象者について尋ねられ、リストを改ざんして提出。税務調査で「元会長のための費用と分かってしまう。取り繕えないと思った」と説明した。」
報道では、ゴーン氏のいわゆる未払報酬について、どういう会計処理が各年度において行われていたのかについては、ほとんどふれられていないようですが、実務的には、けっこう重要だと思います。また、いったん帳簿上計上された約90億円もの費用が取り消されたのだとすれば、監査人も把握していたのでは。
この記事によれば、結果の予測は全くつかないのだそうです。
「この裁判の行方は識者の間でも見解が割れている。刑事裁判というのは、公判を傍聴しているとだいたい結果は予想がつくものだが、全国紙社会部デスクも「今回は分からない。あらゆる結果を想定して予定稿を準備している」と話していた。」
「判決の行方について、ある金融関係者は「日産の内規がどうなのか分からないので一般論だが」としながら、「判断は報告書に記載するべきタイミングが『経費として計上された時』なのか『実際に支払われた時』なのかで変わってくるのではないか」と説明。ただ「公判で『税務調査で計上した報酬を取り下げた』という元秘書室長の証言があり、ゴーン被告に支払うために別枠でストックしていたなどの実態があれば、検察側の主張も分からなくもない」と話した。
その上で「こうしたケースが刑事事件に問われたのは過去にないはずなので、この判決が確定した段階で、判例として『報告書への記載はこうあるべき』と認識されるだろう」との見方を示した。」
役員報酬個別開示について、金融庁は、費用計上のタイミングと合わせるといっていたと思います(だから開示が費用計上時か支払時かという論点ではない)(金融庁の解釈を裁判所が採用するとしてですが)。そうではなく、そもそも、いつ費用計上すべきだったのかという会計の問題と連動しているのではないでしょうか。
いずれにしても、12時間後には判決が出ているはずです。そのときに、また取り上げたいと思います。
ゴーン被告の元側近にあす判決「無罪となると考えている」(日本海テレビ)
「3日の判決を前に、ケリー被告が日本テレビの取材に書面で応じ、「判決では、事実に基づき無罪となるものと考えています」とコメントしました。」
「未払い報酬」の有無焦点 ゴーン被告元側近、無罪主張―3日判決・東京地裁(時事)
「弁護側は、ケリー被告はゴーン被告に退任後の顧問料などの支払いを模索していたものの、在任中の業務の対価ではなく、退任後も日産につなぎ留めるための合法的な措置を検討していたにすぎないと述べ、未払いの報酬はなかったと主張。ケリー被告の関与があったとする元秘書室長らの証言は信用できず、物証もないとして共謀を否定した。
また、未払い報酬を記載しなかったとしても虚偽記載には当たらないとし、「無罪しかあり得ない」と訴えている。」
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