コーポレートガバナンス・コードに込めた理念
「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」の座長である池尾和人・慶應義塾大学教授へのインタビュー記事。
日本のコーポレートガバナンス・コードには2つの特徴があるそうです。
「一点目は、あくまで会社の持続的発展と中長期的観点からの企業価値最大化を目指す、というフィロソフィーです。本来、企業経営は中長期的観点から行うべきものです。いつまでも成果が出ないのでは困りますが、短期的な成果を性急に求めることは適切ではありません。」
「基本として、長期保有の大株主としっかり対話することを求めています。」
「特徴の二点目は、ステークホルダーとの適切な協働です。ここでいうステークホルダーには、株主だけでなく、従業員や顧客・取引先、地域社会などが含まれます。ただ、株主以外のステークホルダーも大事にするというのは、実は日本企業だけの特徴とは言い切れないかもしれません。
たとえば米国の多国籍企業、ジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドは「顧客が第一」であって、以下、従業員、地域社会と全世界の共同社会と続き、株主に対する責任は四番目となっています。これは、この順序で責任を果たせば、「株主への責任は自ずと果たせるというのが、正しいビジネスの論理なのだ」という考えに基づいています。ステークホルダー全体との協働を重視する考えは、世界に通じているとも言えるでしょう。」
コーポレートガバナンス報告書については・・・
「突き放すように受け取られるかもしれませんが、自分が経営する会社のガバナンスを他人に考えてもらうというのはナンセンスで、経営者自身が考えるべきことだと思います。」
「原則の一部を実施しない場合のエクスプレイン(説明)についても、この程度必要だ、という基準があるわけではありません。したがって、最初は戸惑いもあると思いますが、コーポレートガバナンス報告書が出されるうちに、試行錯誤を繰り返すなかで相場観のようなものが形成され、投資家や世間から、説明内容について十分で妥当なものだ、と受け取られるレベルに収斂されていくもの、と期待しています。
「ひな形が欲しい」という声があることも承知していますが、以上のような理由から、それをお示しすることはできません。ガバナンスの内容を決めることは、経営者の責務の一部と言って良いでしょう。経営トップは、法務や経営企画部門に丸投げするのではなく、経営者ご自身でガバナンスのあり方を考えていただきたいと思います。」
正論だけれども、なかなか難しそうです。
最終的に経営者が理解し納得するのであれば、ひな形的なものをたたき台にして作っても、かまわないと思いますが。
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