会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

リコー、インドで損失最大365億円 子会社支援打ち切り (日経より)

リコー、インドで損失最大365億円 子会社支援打ち切り

リコーが、インド子会社に対する追加の財政支援を打ち切って、損失を最大で365億円計上する見込みという記事。

「支援を打ち切るのは1993年に設立した現地販売子会社のリコーインド。リコーグループが73.6%を出資し、複合機の販売や保守サービスを中心にリコーのインド事業全般を手掛けている。従業員数は6月末時点で900人強。17年3月期の売上高は約200億円で、税引き前損益は赤字傾向が続いている。ムンバイ証券取引所に上場している。

リコーインドをめぐっては、15年11月に監査法人の指摘を受けて、利益水増しの不正会計の兆候が発覚。リコーが17年3月期に69億円の損失を計上していた。」

「業績が改善しないうえ、主要取引先との関係も悪化。10月には主要取引先の印ITサービス会社が現地裁判所にリコーインドの会社更生手続きの開始を申し立てた。9月に続き2度目の申し立てだった。」

「リコーはインド関連で17年7~9月期に65億円の損失を見込んでおり、さらに法的整理などの場合には300億円が上乗せされる可能性があるという。」

インド子会社の不正について、会社から発表があったのは、昨年7月でした。

本来、不正会計の影響(2017年3月期の69億円)は、2016年3月期に織り込むべきものだったようです。当期の大きな損失も、本当に当期でよいのか(2017年3月期ではないのか)という点検が必要でしょう。

当サイトの関連記事(2016年7月のリコーの発表について)

会社のプレスリリース。

海外連結子会社再建支援の方針変更に伴う通期連結業績予想の修正について(リコー)

「リコーインドは、2015年度第1四半期(4月~6月)の決算報告をした後、コーポレートガバナンス徹底のために会計監査人を変更いたしました。その後同年度第2四半期(7月~9月)決算において、新会計監査人から一部社員による不正行為の兆候の指摘がリコーインド経営陣・同監査委員会に対してなされました。同社監査委員会は外部専門家を選任し社内調査を進めつつ、2016年4月13日にトップマネジメントを刷新して事業の運営体制を整え、開示が遅れていた2015年度第2四半期(7月~9月)の決算報告を2016年5月19日に行いました。

その後、不適切会計処理を継続調査し、2016年7月19日に修正結果を反映した同年度の損失見込みをリコーインドが公表するとともに、同日、リコーはインドの会社法審判所(National Company Law Tribunal)に対して、リコーインド事業再建のために増資の審査申請手続きを開始しました。(増資実施同年10月15日)
また、リコーインドの会長職にリコー本社執行役員を新たに派遣するなどし、新マネジメント体制の元、経理・財務機能の正常化、適切な会計報告の実施、再発防止策などの支援を行い、現地事業再建に努めてきました。

しかしながらリコーインドの業績は、2016年度は税引き前利益△33億ルピー(△58億円)、2017年度に入っても第1四半期の税引き前利益△7億ルピー(△12億円)と、赤字が継続している状況にあります。

さらに主要取引先であったFourth Dimension Solutions(本社:ニューデリー、インド国立証券取引所上場、以下「FDS」)との取引関係が悪化しました。リコーインドはFDS社の複数の共同受注案件の収益性改善のために取引関係を見直すべく折衝を続けてきましたが合意に至らず、契約不履行も頻発したため、2017年5月にFDS社との契約の一部を解除し、かつ前渡金の返還を求めて折衝を続けていました。

一方FDS社は、2017年9月にリコーインドに対してインド破産倒産法に基づき会社更生手続きの申立てを実施しました。手続の開始には至らなかったものの、これによりFDS社との係争が表面化しました。さらに昨日10月26日に、FDSから同様の申立てが再度あったことをリコーインドが公表しております。」

今年9月の現地報道です。

Did The Fraud At Ricoh India Begin Much Before The Company Claims?(ブルームバーグ)

会社発表より早い2013-2014年の決算から不正はあったようです。 また、Ricoh India<の財務のトップが不正を通報したそうです。(crore=1000万ルピー)

The alleged accounting fraud at printer and scanner maker Ricoh India may have started in financial year 2013-14 as opposed to the company’s stand that its books were in order during that period. That’s according to a preliminary audit report by PwC, based on the deposition of a whistleblower.

Ricoh India’s books of accounts were being fudged from January 2014 and the misrepresentation resulted in a net increase of Rs 199 crore in profit in the next financial year (2014-15), the report says quoting the whistleblower, a former head of finance at Ricoh India.

具体的にどういう方法だったのかはわかりませんが、認識されなかった損失は、サプライアー兼顧客である取引先 Fourth Dimension Solutionsの口座(勘定)を通じて調整されたといっています。この取引先との間で、変なことをやっていて、相手からも、法律的に反撃されてしまったというようなことなのでしょうか。

Recorded transactions appeared to give the impression that previously unreported losses were “effectively being adjusted” through the account of Fourth Dimension Solutions Ltd., a supplier and customer, PwC’s report said. On its part, Fourth Dimension Solutions has filed an insolvency petition against the company to recover Rs 429 crore for a cancelled contract.

PwCは2015年4月から9月までの決算についてフォレンジック監査をやるために法律事務所から依頼を受けたとのことです。

PwC was appointed by law firm Shardul Amarchand Mangaldas, legal counsel of Ricoh India, to conduct a forensic audit of accounts between April 1 and September 30, 2015. At that time, the company’s position was that there was nothing wrong with its books before the said period. The audit findings, however, suggest that the rot ran deeper.

現地ではPwCや法律事務所を使って詳しく調べているようですが、日本のリコーからの発表は、だいぶはっしょっているのかもしれません。
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