中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)の監査人であるPwCが、同社の2020年の決算報告書の監査報告書で、ゴーイングコンサーンについてふれていなかったという記事。
「監査を担当した大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港事務所は恒大の昨年の財務諸表を承認した際、いわゆるゴーイングコンサーン(継続企業)注記を記載しなかった。それが記載されれば、当該企業が少なくとも12カ月間存続できる能力について、監査法人が疑問視していることを示す警告となる。」
新年度の上半期の決算(監査対象外)では、ふれていたそうです。
「しかしながら、恒大の取締役会は1-6月期(上半期)の決算報告書で、短期債務を返済する能力や継続企業として存続する能力について懸念を表明していた。監査を受けていないこの報告書は、恒大が財務上の問題を明確に認識していたことを示している。」
監査人は、習近平のあたまの中まで知ることはできないので、前期の監査報告書を発行した時点では、継続企業として存続する能力に重大な不確実性があるとまでいえなかったのでしょう。(本当に記載不要だったかどうかは、決算書(監査事務所内部では監査調書も)をよく見返してみる必要がありますが...)
中国恒大の経営危機は長期化が避けられない(NRI)
「恒大の経営危機は、不動産業の債務拡大に歯止めをかけるための政府の規制強化が直接的なきっかけとなっている。政府は、不動産業の債務拡大が、金融面での大きなリスクとなっており、金融システム安定の観点から以前より債務圧縮に取り組んできた。さらに足元で掲げている「共同富裕」の理念のもとに、政府は資産格差の縮小や、庶民の住宅取得のコストを抑制する観点から、住宅価格の上昇抑制に取り組んでいる。これらが不動産業への規制強化の背景にある。さらに、巨額の利益を上げる大手企業を叩く狙いもある。
こうした点を踏まえると、恒大の経営危機は政府が狙ったことでもあり、不動産業全体に強い警鐘となることも政府は期待しているだろう。そのため、恒大を政府が安易に救済することは考えられない。」
「対応が難しいのは、請負業者への巨額の買掛金、住宅購入費を支払った個人への債務(住宅受け渡しができていない)である。恒大が債務返済のために土地や建築物などを投げ売りすれば、資産価格が大きく下落して、資産デフレを生じさせてしまう。政府は、恒大の事業、資産を同業他社に譲渡させる形で、こうした債務の返済を円滑に進め、大きな社会的混乱を避けるように努めるのではないか。」
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