金融庁の公認会計士・監査審査会は、監査法人よつば綜合事務所を検査した結果、当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、当監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう、金融庁長官に2016年11月9日付で勧告しました。
以下のような指摘がなされています。
(業務管理態勢)
「いずれの代表社員も当監査法人の品質管理業務にほとんど関与していないだけでなく、監査実施者の専門的能力が不足しているなど監査実施態勢が脆弱であることを認識していない。 」
「現行の監査の基準で求められる水準に関する理解・知識が不足している社員に上場会社の業務執行社員や審査担当者を長期間継続させている」
「これまでの監査補助者の中核となっていた常勤の公認会計士が相次いで退職したため、新規に採用した非常勤の公認会計士や常勤の公認会計士試験合格者以外の職員により監査チームを編成せざるを得ないなど、監査実施態勢は従前にも増して脆弱なものとなっている。 」
(品質管理態勢)
「独立性の確認に関連して入手すべき確認書について入手できていないものがみられる。」
「監査実施者の能力を向上させるために必要な研修を実施していない。」
「研修を履修していない社員、職員に対するフォローアップをしていない。」
「非常勤の職員については研修履修に関するルールが定められておらず、履修状況も管理していない。 」
「不正による重要な虚偽表示を示唆する状況に該当するかを当年度の売上計上に関連して検討すべきであったにもかかわらず、監査補助者に対し適切な指示を実施していない。 」
「特別な検討を必要とするリスクを識別した収益認識の検討において、監査目的に適合した監査証拠の入手を指示していない」
「会計上の見積りの監査等において、監査補助者が、前期と同様の手続を実施するのみで、被監査会社の主張に対して批判的な検討を実施していないことについて、査閲を通じて是正できていない。 」
(個別監査業務)
「代表社員 CEO を含めた業務執行社員は、不正に関連した監査の基準や収益認識に関連した項目を含め、現行の監査の基準で求められる水準に関する理解・知識が不足している。 」
「会計基準に反する売上計上が判明し過年度の決算書を訂正するに至った監査業務において、職業的専門家としての懐疑心を発揮して不正による重要な虚偽表示を示唆する状況に該当するかを十分に評価すべきであるにもかかわらず、被監査会社の誤謬であるという主張を批判的に検討することなく受け入れている。また、当該会計処理に関連して追加で実施した売上の期間帰属に係る実証手続において、仕入先の納品書又は請求書と突合しているが、売上計上基準が顧客への引渡基準であることや過年度の決算書を訂正するに至った事案に関連する手続であることを踏まえ、監査証拠として利用する納品書又は請求書の適合性や信頼性を評価した上で手続を立案していないなど重要な不備が認められる。 」
勧告の中でも少しふれていますが、ホームページを見ると、会計監査は、よつば綜合事務所というグループの一事業部門という位置づけのようです。そのこと自体にいい悪いはありませんが、監査の品質管理・業務管理体制まで手が回らないのでしょう。また、人手不足の影響も出てきているのかもしれません。
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