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開示に関する適用後レビューの報告(単体財務諸表における開示に関する方針策定を断念)(企業会計基準委員会)

開示に関する適用後レビューの報告(PDFファイル)

企業会計基準委員会は、「開示に関する適用後レビューの報告」という文書を、2025年3月11日に公表しました。

この文書に記載された「経緯」によると、企業会計基準委員会の2019 年中期運営方針では、

  • 単体財務諸表における開示
  • 重要性の考え方

について、検討すべき論点を整理し、企業会計基準委員会が開示(注記事項)を定める際の指針となる文書を作成するとされていたそうです(9項)。

これらのうち、重要性の考え方については、2022 年 6 月に「企業会計基準等の開発において開示を定める際の当委員会の方針(開示目的を定めるアプローチ)」が公表されています(10項)。

しかし、単体財務諸表における開示については、2022 年中期運営方針で取組みを継続するとされたものの、2025 年 3 月現在で成果物を公表するには至っていません(11項)。

「開示に関する適用後レビューの総括」(4ページ)によると

「今後の企業会計基準等の開発に資する考え方を示す方針を定める場合、単体財務諸表のあり方にまで検討が及ぶ可能性があり制度との調整も必要になると考えられ、制度の見直しまで含めた方針の策定を行うことについての関係者のコンセンサスも醸成されるに至っていないことを踏まえると、当該方針の策定を今後も継続して進めていくことは現時点では困難であると考えられる。」(14項)

「以上から、開示に関する適用後レビューについては、2025 年 3 月までの成果をもって終了することとした。」(15項)

ということで、単体の開示についての方針策定は断念したようです。

以下、私見ですが...

単体財務諸表といっても、それだけで開示が完結する場合(子会社がなく連結を作成しない場合も含む)もあれば、連結のおまけとして開示される場合もあります。むしろ、簡素化などとは言わずに、フル開示を原則として、おまけとしての開示の場合のみ、正式なフル開示版の要約版を添付するなどすればよいでしょう。(ただし、有報の単体財務諸表は、おまけではなく、重要な情報だという見方もあるかもしれません。)

また、どの基準のどの注記項目が単体で省略可能かなどを、いちいち規定を調べて、判断するというのは、かえって面倒なのではないでしょうか。それに、連結での注記を行うためには、単体での情報が必要なわけですから、単体注記を省略したからといって、すごく手間が省けるというものでもないでしょう。

フル開示としてどこまで求めるかは、単体と連結で分けるのではなく、上場と非上場など、企業自体の社会的影響に基づき、決定すればよいでしょう。

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