J-IFRSの審議状況を伝える記事。
「IFRSのエンドースメントに関する作業部会」の6月9日までの会議で、公開草案の構成が示されたようです。
「第13回・第14回会議では公開草案の基準の仕様として、以下の四つについて案を示した。
(1)修正版IFRSの公開草案の公表に当たって
(2)修正版IFRSの適用
(3)修正会計基準第1号「のれんの会計処理」
(4)修正会計基準第2号「その他の包括利益の会計処理」」
(3)(4)が、肝心のIFRSを修正する内容となります。修正項目はこの2つに絞り込まれています。
「(3)(4)では、IFRSを削除/修正した文言を該当した箇所とともに示すほか、削除/修正に至った背景を説明している。(3)では、例えばIFRS第3号(企業結合)に対して、「20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却し、純損益に認識しなければならない」といった、のれんの償却に関する文言を追加している。
・・・
(4)では、例えばIFRS第9号(金融商品)に対して、「・・・当該金融資産の認識の中止を行った際には、過去にその他の包括利益(OCI)に認識した利得または損失の累計額を、OCI累計額から純利益に組替調整額として振り替えなければならない」といったリサイクリングに関する文言を追加している。・・・」
今後のスケジュールについては・・・
「ASBJは、日本版IFRSの完成目標を2014年秋としている。この点を考えると、公開草案は早ければ7~8月ごろに登場する可能性が高いと予想される。」
記事では、J-IFRS採用企業がどのくらいあるのか心配しています。
「そもそも日本版IFRSを採用する日本企業がどれほど登場するかは未知数だ。ASBJの作業部会に一般企業から参加しているメンバーからは、日本版IFRSの議論が「日本企業にとっての使いやすさ」よりも「海外への意見発信」を重視するようになった点に不満の声が出ている。そうした内容の基準を、IFRS採用に慎重な態度を示す製造業を中心とする日本企業が受け入れるのかどうかは見えていない。」
このほか、日経の記事にもなったIASB理事の発言も紹介しています。
「日本版IFRSの採用が「IFRSの任意適用の積み上げ」にストレートにつながるかどうかも疑問が残る。IASB理事の鶯地隆継氏は6月5日に開催されたIFRS財団での報道機関向け説明会で、IASB側の認識として「日本版IFRSは日本基準」とした。日本版IFRSは「IFRS任意適用促進のためのツールであり、よりIFRSに近づくという点で(IASBは)評価している」(鶯地氏)。
つまり、企業が日本版IFRSを採用した場合、自社の基準はIFRSに近づくが、対外的に「IFRSを採用している」とは必ずしもいえないことになる。・・・」
J-IFRSは正式版IFRSをほんの少し修正して作るわけですが、国際的には、あくまで、もうひとつの日本基準であり、IFRSの仲間には入れてもらえないようです。しかし、自民党には、IFRSだといって説明するのでしょう。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
住友商事、累計4000億円「損失の迷宮」 ニッケル事業で20年の泥沼(日経より)
【独自】JALがグループ会社のトップ人事に“強引介入”か、上場廃止を迫る株主提案は「天下りポスト」を失った意趣返し!?(ダイヤモンドオンラインより)
(書籍の紹介)業種別 IFRS国際サステナビリティ開示基準の実務対応/ISSA 5000対応 サステナビリティ情報保証の実務ガイド
社員がインサイダー取引に関与した疑いでIRJを強制捜査…証券取引等監視委員会(読売より)
いわき信組元会長を銀行法違反で告発、ディスクロ誌に虚偽記載か(福島民友より)

「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立しました(中小企業庁)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事
【コロナ禍で最大の飲食店倒産】お好み焼き店「いっきゅうさん」など80店超を経営していた「ダイナミクス」(東京)が、負債100億円超を抱えて破産開始決定受ける(Yahooより)
監査人交代事例8件(アスカ3件(「登録の拒否」処分)、ナカチ(更新辞退)、あずさ2件、トーマツ、太陽の退任)(2025年5月23日)
デロイト トーマツ グループ、3法人の合併に関する基本合意書の締結を発表(デロイト トーマツ グループ)
