村上系ファンドの餌食に、静岡・老舗企業の盲点 拙速なTOBに対してアクティビストが揺さぶり
焼津水産化学工業という上場会社が村上系ファンドなどに狙われているという記事。
「焼津市の調味料メーカーである焼津水産化学工業(1959年創業)は、売上高128億円(2023年3月期)、時価総額約150億円(2023年10月12日時点)の小型株にもかかわらず、村上系ファンドや3Dインベストメント・パートナーズが急速に株式を買い増している。」
現在、株式公開買い付けが行われていますが、その動機や手続きに突っ込まれる要因があったようです。
「焼津は2019年、全製品の2割超で添加物やアレルギー原材料の表記が不十分だった不祥事を起こしている。2020年3月期決算では、取引先への賠償などで約6億円の品質関連損失を計上した。
松橋氏(焼津の株主である「ナナホシマネジメント」の代表取締役)は2022年10月から事件に関して経営陣と対話を行い、山田潤社長と当時の取締役に善管注意義務違反があると考えた。そこで6月15日、両名に約6.4億円の損害賠償請求を提起するよう、会社側に求めた。
そうした中、8月に発表されたのがTOBだ。焼津が非公開化されると、スクイーズアウトによってナナホシは株主ではなくなり、会社に対して損害賠償の提訴を請求する権利を失う。TOBの真の理由は、現社長らの訴訟逃れというわけだ。」
TOBの手続きに関しては...
「焼津は4月17日、TOB価格の妥当性などを判断する特別委員会の設置を決議した。委員に選定された1人が、静岡銀行の出身者だった。
静銀は焼津の大株主かつメインバンクであるだけでなく、TOB資金として最大100億円の資金を融資する予定だ。利害関係者である静銀の出身者が委員に就任していると、買い付け価格が安価であっても、古巣におもねるあまりTOBの成立を誘導させる誘因が生じうる。」
「M&A(企業合併・買収)では、独立した第三者評価機関に対して取引価格や公正性を仰ぐ「フェアネスオピニオン」を取得することが一般的だが、本TOBでは取得されていない。」
TOBの公表と同時に、中期経営計画の計数目標を下方修正したこともあやしいといっています。
現在、同社の株価は、TOB価格を突破して、TOBが不成立となる可能性が高いそうです。