犯罪者の金を吸い込んだ「トランプ物件」の実態
汚い金が大統領選資金へと変わるカラクリ
先日当サイトで紹介した『クレプトクラシー 資金洗浄の巨大な闇:世界最大のマネーロンダリング天国アメリカ』の宣伝記事。
米国内外の汚いカネが、トランプ前大統領の不動産物件に投下されてきたという部分を抜粋しています。
ハイチの独裁者、ジャン゠クロード・デュヴァリエが、トランプ物件をペーパーカンパニー名義で取得するところからはじめています。
「マンハッタンのまさに中心にそびえる新しいビルに、デュヴァリエの汚い金が投じられようとしていた。物件は高さ約60階の新築のタワービルで、テナントを募集していた。真鍮のように輝く直方体の建物が多いミッドタウンで、そびえ立つ黒曜石の破片のような外観をしていた。デュヴァリエが目をつけたのは54階の部屋で、ニューヨークの息を飲むような街並みが1望でき、価格は現在価格に換算すると諸経費を含めて約600万ドルはした。それでも独裁者はこの物件を購入することに決めた。代理の弁護士が購入を進め、1983年4月22日に契約書にサインをしている。」
「1983年のその日――トランプがホワイトハウス入りを果たし、アメリカの反クレプトクラシー政策とともに、この国の民主主義の軌跡を覆してしまう数十年前のその日、トランプは彼にとって最初の泥棒政治家となる人間をこの国に上陸させていた。
そしてそれは、トランプにとって最後となるものではなかった。
トランプの財務歴の全容を明らかにするには何年もの時間がかかるだろうし、場合によっては何十年にも及ぶかもしれない。だが、大統領に就任する以前の時点で、国内にある不動産に限っても、トランプが何十億ドルもの資金洗浄に関係していたのは明らかである。
もっとも広範囲に行われた調査によると、トランプが所有していた1300戸以上の物件が、過去にマネーロンダリングに手を染めていた人物に販売されていた。1300という販売戸数は、トランプが所有する物件の5分の1以上に相当する。」
みるからにあやしいタックスヘイブンで登記した会社だけでなく、米国で登記したペーパーカンパニーも活用されていたそうです。
「デュヴァリエの汚い金を吸い込んでいたペーパーカンパニーのように、トランプの物件を購入していたダミー会社のなかには、パナマや英領バージン諸島で登記された会社もあった。しかし、怪しい買い手の大半は、アメリカで登記したダミー会社を徹底的に利用してこの国の不動産を購入していた。
たとえば、約75件の物件の購入に関して、デラウェア州(アメリカ国内にありながらタックスヘブンとして知られる州)で登記されたペーパーカンパニーがそれぞれ関与し、およそ1億3000万ドルの資金の流れを完全に隠しおおせていた。」
トランプ自身も、378社もの会社を、デラウェア州で登記していたそうです。
(電子書籍版。別に単行本もあります。)