日本公認会計士協会は、リモートワーク対応第4号「構成単位等への往査が制限される場合の留意事項」を、2021年2月12日付で公表しました。
「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」というプロジェクトの一環として出されたものです。
「リモートワーク方式による監査手続の実施又は構成単位の監査人が実施する作業への関与に関して、リモートワーク環境下における実務上の観点から留意することが考えられる事項を示す」報告書です。
リモートワーク方式とは...
「リモートワーク方式による監査手続の実施又は構成単位の監査人が実施する作業への関与とは、電話回線又はインターネット等の送受信技術を活用して、構成単位及び構成単位の監査人との間で必要な情報を送受信することにより、監査人が、グループ監査チームとして、遠隔地から監査手続の実施又は構成単位の監査人が実施する作業への関与を実施することをいう。」
ややポイントがつかみづらい報告書ですが、いくつかの部分を引用すると...
「重要な虚偽表示リスクを評価した結果、重要な虚偽表示リスクを許容可能な低い水準に抑えることが可能と判断される場合には、構成単位に往査を行うことに代えて、当年度において監査証拠をリモートワーク方式の監査手続の実施により入手して利用することが可能となることがある。」
「監査人が直接に原本にアクセスできない状況において、紙媒体の情報を PDF に変換した情報やカメラにより撮影した画像のようなデジタル化され、リモートワーク方式の監査手続の実施によって入手された監査証拠については、直接入手した場合に比べて証明力が異なること及びデジタル化に伴い監査リスク(発見リスク)が生じることを勘案し、他の監査証拠を入手し、組み合わせて利用することが必要となる場合があることに留意する。」
構成単位の監査人とのコミュニケーションの内容や方法についてもふれています。

リモートワーク対応第3号「PDF に変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」や同第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」を参照している箇所もあります。
なお、2021年2月12日までに公表されている「リモートワーク対応」報告書は、これを含め、以下のとおりです。
第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」
第4号「構成単位等への往査が制限される場合の留意事項」
第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」
第2号「リモート棚卸立会の留意事項」
第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項 ~監査人のウェブサイトによる方式について~」