会計基準見直し企業負担軽減(記事冒頭のみ)
のれんの償却を不要とするように会計基準を変える検討を政府が行うという記事。日経の1面で大きく出ていました。
「政府は企業がM&A(合併・買収)をしやすくするため、日本の会計基準を改める検討に入った。買収後の費用負担を軽くできるように欧米式の会計基準に合わせる。企業がM&Aで新事業を開拓し、利益を伸ばすのを後押しする。会計基準を策定する民間団体に要請し、新制度を6月に作る成長戦略に盛り込むことを目指す。」
政府といっても、企業会計を所管している金融庁ではなく、経産省だそうです。
「経産省はのれんにかかわる基準見直しのメリットは大きいとみている。」
「企業買収の際に生じる「のれん代」の償却が必要なのは日米欧の会計基準のうち日本だけ。日本基準で償却がなくなると、国際会計基準(IFRS)や米国基準に近づくことを意味し、会計処理の面からも欧米型のダイナミックな再編が生まれやすくなる。」(日経3面)
経産省は、「ものづくりに役立つ日本型会計を守れ」的な中身のない主張をしており、その中心的論点のひとつがのれん償却必要論でしたが、この記事によれば宗旨替えをしたようです。
実際に基準が変わるとしても、ASBJで検討してからとなり、少し先の話ですが、政府の成長戦略に書かれてしまうと、変えざるを得ないという空気になるのでしょう。ASBJの独立性などどうでもいいということなのかもしれません。
(それにしても、東京電力の実質的粉飾決算を主導している経産省に会計基準を語る資格があるとも思えないのですが・・・)
昨年公表された経産省の資料
企業会計制度をめぐる動向(2013年7月)(経産省)(PDFファイル)
IFRSに対する産業界の声として「日本基準はIFRSとほぼ同等の基準となっており、異なる部分(=経営の考え方として受け入れられない基準)については、IFRSの改善項目として(オールジャパンで)問題提起している。これら(利益表示、公正価値、のれん等)は、国際的にも大きな争点となっている事項」という記述も見られます。IFRSにおける非償却というのれんの会計処理は「受け入れられない」はずだったのでは・・・。

(上記経産省資料より)