待機児童問題を取り上げた記事。社会福祉法人の財務開示についてもふれています。
「規制改革会議では、保育所への株式会社参入が進まない背景に社会福祉法人の抵抗があるとみて、多くの委員が「実態解明のために、まず社福の財務諸表を公開せよ」と迫った。ところが、厚労省の担当者は「関係者にまず周知しないと。関係者とよく相談して早めに公表させていただくという形で」などと逃げ回った。
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これで分かると思うが、驚くべきことに、厚労省は「公金が入った社福の財務公開は民間企業並みでなくてもいい」と言わんばかりの認識なのである。話はまったく逆ではないか。委員の再三にわたる追及の末、厚労省は13年度分から財務諸表を公表する姿勢に転じた。だが、それでもこんなやりとりがあった。
委員 「『公表を行うこととし』というのは、必ずしも義務付けを意味していない。出してこないところが出る可能性を残すということか」
厚労省 「仮に法律で義務付けしたから、全部出るとは限らないと思うし、どういった形で実効的な担保ができるか、その辺を十分考えて検討したい」
別の委員 「いまの発言、法的に義務付けても実際に行われるか分からないというのは、私は聞き間違いかと思った。担当者がそういう認識でいるとは」
ここで、出席していた弁護士出身の稲田朋美規制改革担当相がたまらず割って入った。
稲田大臣 「法的な義務付けをしてもやるかどうか分からないというのは、まさしくやらせなければならない行政が、その権限行使をしないと聞こえたが、もう一度、整理してお答えいただきたい」
厚労省 「誤解を招いたかと思う。労働安全衛生法でも監督署が回ってみても、60%くらいの実施率という例もある。必ずしも、きちんと法律があるからといって守られるわけではありません。事業者の理解をいただきながら、やっていく必要がある」・・・」
国の官僚が公の会議で法律を守らない者がいてもしょうがないみたいなことを明言しているというのもすごいことです。監査まで要求するのであれば追加費用がかかりますが、従来から財務諸表を作成しているわけですから、その開示をもとめることが法人に大きな負担になるとも思えません。
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