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中国で「子会社」と取引 コマニーが財務諸表修正(北國新聞より)

中国で「子会社」と取引 コマニーが財務諸表修正

名証2部上場のコマニーが、子会社の範囲の問題で過年度の財務諸表を訂正するという記事。証券取引等監視委員会の調査がきっかけだそうです。

「コマニーによると、現地企業は2007年設立の「南京捷林格建材有限公司」。コマニーの中国子会社グループの相手先ブランドによる生産(OEM)先で、同社が昨年8月に買収した。

 今年9月、証券取引等監視委員会がコマニーを立ち入り調査し、中国事業や関連取引で 不適切処理が行われた疑いがあると指摘。同社が第三者調査委員会を設置して調べた結果 、不適切な処理はなかったが、同有限公司は買収前から子会社の要件に該当することが分かった。

 同有限公司の設立当初から買収前の11年6月までの売上高は計5億4400万円で、 これらを精査し、財務諸表に反映させる。業績に与える影響は軽微という。」

監視委員会の指摘は半分は「はずれ」だったということになります。子会社範囲の問題は修正するようですが、子会社からもれていた期間の売上が5億円強しかないわけですから、大きなBS項目がなければ、影響は軽微でしょう。

第三者調査委員会の調査結果に関するお知らせ(PDFファイル)

「コマニー株式会社・・・は,平成24年9月11日,金融庁証券取引等監視委員会開示検査課(以下, 「証券取引等監視委員会」という。)による立入調査を受け,同調査において,格満林(南京)実業有限公司(以下,「格満林実業」という。)を含むコマニーの中国子会社5 社・・・における会計処理の妥当性が指摘され, また, 平成23 年8 月にコマニーが成光インターナショナル有限会社・・・から買収し子会社とした南京捷林格建材有限公司と格満林実業との取引にかかる関連当事者取引の該当性, 捷林格の子会社該当性の有無などが指摘された。」

会計処理でもめた背景には、現地会計事務所(KPMG)の監査体制があったようです。

「格満林グループ各社は,捷林格を除き,設立当初より国際大手会計事務所 KPMG の上海事務所の監査を受けていた。

2008 年に KPMG 南京事務所が開設され,これに伴い格満林グループの監査は,上海事務所から南京事務所に移され, 監査チームのメンバーが大幅に変わったため,2009 年12 月決算の監査については, 現場で混乱が生じた。 KPMG は, 監査上の多くの指摘事項を残したまま, 監査報告書の発行を差し控える旨の通告を格満林グループに行った。そのため, 格満林グループでは, コマニーの連結財務諸表作成に大きな支障をきたし,中国の監督当局に監査報告書付きの財務諸表を提出できなければ営業許可証が取り消されるため, 急遽, 後任監査人として, 江蘇興瑞会計士事務所(以下江蘇会計事務所という)を選任した。江蘇会計事務所より監査報告書を期限までに受け取り, 監査報告書付の財務諸表を監督当局に提出し, 事なきを得た。」

調査報告書によると、KPMGの現地事務所は、貸倒引当金、滞留在庫の評価、仕掛品の実在性などについて、かなり乱暴な会計処理を指導していたようです。

コマニーの監査人であるあずさ監査法人については、中国子会社の監査戦略については妥当とし、KPMG現地事務所の意見不表明への対応も不適切ではなかったとしていますが、 捷林格の子会社該当性の問題については、「より早い時期に結論を提起するべきであった」と述べています。

監視委員会が立ち入り調査するほどの案件なのかという気もします。むしろ、会社に同情したくなるぐらいですが、海外子会社への監査対応(現地会計事務所とのコミュニケーション、会計・監査慣行の違い等)の面では、参考になります。(これも中国リスクでしょうか。)
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