金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を、2014年1月14日付で公表しました。
昨年6月に公表された「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を踏まえ、単体開示の簡素化を図るため、「財務諸表等規則」や開示府令などを改正しようとする案です。
改正案の概要は以下のとおりですが、連結財務諸表を作成している会社が主たる対象となっています。
(1)本表(貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書)
会社法の要求水準に合わせるため、新たな様式を規定(財規改正案1条の2によると、従来の様式との選択適用が可能)
(2)注記、附属明細表、主な資産及び負債の内容
a 連結財務諸表において十分な情報が開示されている項目について財務諸表における開示を免除(例:リース取引に関する注記)
b 会社法の計算書類と開示水準が大きく異ならない項目について会社法の開示水準に合わせる(例:偶発債務の注記)。
c 上記a、b以外の項目については、有用性等を斟酌した上で従来どおりの開示が必要か否かについて検討し、
・財務諸表における開示を免除する(例:主な資産及び負債の内容)
・非財務情報として開示する(例:配当制限の注記)
((1)(2)とも、連結財務諸表を作成している会社全部が対象になっているものと、「特例財務諸表提出会社」(連結財務諸表を作成している会社のうち会計監査人設置会社)(財規改正案1条の2)のみが対象となっているものがあるようです。)
中間財務諸表等規則等及びガイドラインについても所要の改正が行われます。
2014年(平成26年)3月期決算から適用予定となっています。(準備期間はあまりありません。)
(計算書類についてもいえることですが、会計基準で定められた注記事項をどんどん省略してしまった財務諸表について、「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して」作成されているといえるのかどうかという疑問は感じます。)
(感想2:注記、附属明細表、主な資産及び負債の内容と並んでいる中で、主な資産及び負債の内容は、今回の改正で開示の省略が多くなりそうです。残りの2つのうち、附属明細表については、広い意味の注記と考えて、注記と整理統合できないものなのでしょうか。付属明細表より細かい注記はいくらでもありますし、表形式の注記もあります。単体に限ったことではありませんが・・・)
(感想3:会社法の会社計算規則は、金商法の財規の影響を受けて策定されています。また、法務省には、会計を専門的に扱う部署はないようです。今回の改正で、部分的とはいえ、財規の方が会社計算規則に合わせるとなると、どこが単体の開示をきちんと検討することになるのでしょうか。誰も責任を負わない無責任体制になるのでは)
監査法人による解説
↓
単体開示簡素化を図る財務諸表等規則改正案のポイント(新日本監査法人)
製造原価明細書の開示免除や被合併会社の個別財務諸表の開示規定の見直しについてもふれています。
最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事