気候変動の影響を開示する動きが内外で出てきたという記事。
「地球温暖化などの気候変動が企業の業績や事業に与える影響を開示する動きが広がっている。米石油大手のエクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは、エネルギー需要の変化や電気自動車(EV)シフトなどの影響を開示。国内では住友化学や出光興産が準備中だ。」
エクソン・モービルの例。
「「環境規制が強化されても事業への影響はほとんどない」。エクソンモービルは2月、約60ページの報告書でこう結論づけた。同社は17年5月の株主総会で、気候変動が保有資産にどのような影響を与えるか開示するよう求める株主提案が出され、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など62%の賛成多数で可決された。
同社は世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えるというパリ協定の「2度目標」を前提に、エネルギー需要の変化やEV化の進展など幾つかのシナリオをたてた。2040年までに事業に与える影響を分析したところ、再生可能エネルギーの利用が広がっても、世界のエネルギー需要は伸び、石油への新規投資は必要と結論づけた。」
信用していい開示なのかどうか...。
金融安定理事会から提言も出ていますが、日本企業の反応は鈍いそうです。
「17年6月には各国の金融当局からなる金融安定理事会(FSB)の「気候関連の財務情報開示タスクフォース(TCFD)」が企業に財務への影響を分析するよう提言。特にエネルギーや運輸、素材など気候変動の影響を受けやすい業種では、売上高10億ドル(1100億円)以上の企業に情報を開示するよう求めた。
環境関連のこれまでの情報開示は製品の省エネ化やリサイクルの取り組みを紹介するものが中心だった。一方、TCFDでは気候変動に伴う天災の多発やエネルギー構造の転換などが、収益にどう影響するかを示すよう求められた。
TCFDに沿った収益評価は海外では300社近くが賛同し、取り組みが進んでいる。一方、日本では三菱UFJフィナンシャル・グループやSOMPOホールディングス、住友化学など約10社の賛同にとどまる。」
デロイトも絡んでいるようです。
「日本企業の対応を促すため、環境省はデロイトトーマツコンサルティング(東京・千代田)と連携し、評価を希望する企業への面談や勉強会を8月から始める。主な対象はエネルギー、運輸、化学、食品分野の企業とし、公募から6社を月内に選定。年内をメドに各社の収益評価を終える。」
開示例の傾向は...。
「気候変動リスクは投資家の関心が年々高まっている。ただ、これまでに公表されている分析結果は、事業への影響がないと結論づけるものが多い。みずほ情報総研(東京・千代田)の村上智美シニアコンサルタントは「今後は開示された情報をもとに企業と投資家の対話が進み、企業のシナリオ分析の精度が高まっていく」とみている。」
影響ありの結論だと、当然、それに対応する戦略はどうなっているのかも示さざるを得ないでしょう。戦略がたつまでは、影響なしにしたいのでは。
当サイトの関連記事(金融安定理事会による「気候関連財務情報開示タスクフォースによる最終提言」の公表について)
その2(同提言関連の解説について)
環境省にESG 金融懇談会(金融庁、経産省などがオブザーバー)というのが設けられ、この問題についても議論しているようです。
ESG 金融懇談会
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