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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

FX取次会社 架空売り上げ計上 金融庁などに行政処分を勧告(NHKより)

FX取次会社 架空売り上げ計上 金融庁などに行政処分を勧告

FXの取次業務などを行う会社が、3年間にわたって架空の売り上げを計上していたという記事。財務局の検査で発覚したそうです。

「四国財務局によりますと、この会社は、令和4年までの3年間にコンサルティング業務で得たあわせておよそ4200万円を売上として計上していました。

しかし、財務局の検査でこのうちのおよそ1900万円は、架空に計上し、財務局に提出した事業報告書にも虚偽の記載をしていたことなどが明らかになり、金融商品取引法に違反していることが確認されたということです。」

金融庁(証券取引等監視委員会)のプレスリリースを読むと、ひどい粉飾だ(しかもレベルが低い)ということがわかります。1900万円は、ほぼ確実に水増しだということはわかった金額であり、他の売上に関しても、相当あやしいようです。

ロンナル・フォレックス株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(2023年5月26日)(金融庁)

「ロンナル・フォレックス株式会社(以下「当社」という。)は、店頭デリバティブ取引の媒介業務の専門業者であるが、当該業務に係る収益は僅少(令和2年3月期から令和4年3月期までの直近3期合計で約4万円)となっている中、当社が付随業務として行っているとされるコンサルティング業務に係る収益(直近3期合計で約42百万円)が、当社の収益の大宗(99.9%)を占めている状況にある。

そして、当社は、当社の代表取締役である井上成雄(以下「井上代表」という。)の母親及び中国在住の井上代表の知人の2名が代表取締役を務める法人との間で締結した経営コンサルティング契約に基づくコンサルティング収益として、直近3期合計で約29百万円を売上げとして計上し、当該売上げを売上高に含めて記載した事業報告書を四国財務局長に提出しているほか、当該事業報告書の写しを備え置く方法により説明書類を公衆の縦覧に供している。

しかしながら、検査において、当該法人の事業実態が確認できなかったほか、当社が当該法人に対して報酬額に見合うようなコンサルティング業務を行ったことを示す証跡も何ら提出されていない。他方、当該法人から当社に支払われるコンサルティング報酬の大部分(約19百万円)を、当該法人の業務に一切関与していないと説明していた井上代表が、自己の個人名義の預金口座から当該法人名義に振込人名義の変更をした上で当社名義の預金口座に送金している状況が認められた。

以上によれば、当該法人から得たとするコンサルティング業務に係る収益のうち、少なくとも井上代表が送金した約19百万円は、井上代表が、自己の個人名義の預金口座から拠出した資金をもって当社が行ったコンサルティング業務に係る収益と見せかけているにすぎないものと認められ、当社は、当該コンサルティング業務に係る収益(売上げ)を架空計上したものと認められる。」

入金の事実だけで、安心してはいけないのでしょう。

水増ししていたのでは収益だけでなく、キャッシュも水増ししていたようです。

「当社の貸借対照表、決算報告資料等によると、当社は、直近3期(令和2年3月期から令和4年3月期)及び令和4年8月末のいずれの時点においても、その総資産のうち大半が現金(例えば、令和4年8月末現在、総資産約71百万円のうち約65百万円(91.3%)が現金)で占められている状況にある。一方で、令和2年1月1日から令和4年12月31日までの間における当社の預金残高の状況は、そのほとんどの期間で数万円から数十万円程度で推移している。

そのような中、当社の唯一の拠点である高松本社には上記金額に相当する現金は存在せず、検査の過程でもそのような大口の現金の存在は確認できなかった

井上代表によると、当社が保有する現金は井上代表の自宅等に保管しているとのことであるが、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金で保管する理由や当社の事務所内ではなく井上代表個人の自宅等で保管する理由について、井上代表は、保管方法は経営者による経営判断で決めるものであるなどといった説明を行うのみで、何ら合理的な説明がなされていない。また、当社は、四国財務局による監督対応等のため保有現金の実在を示す必要が生じた都度、井上代表の知人等が経営する他社から一時的に井上代表個人名義の預金口座を介して当社名義の預金口座に入金を受け、銀行から預金残高証明書の発行を受けて四国財務局に提出するなどの対応をとった後、当該他社に返金を行っている状況が認められた。

上記のとおり、検査において上記金額に相当する現金の存在は確認できていない上、総資産の大半に当たる金銭をあえて現金保有とする理由や保管場所をあえて井上代表個人の自宅等とする理由について何ら合理的な説明もなく、かえって、真にそのような額の現金を当社が保有しているのであれば行う必要のない資金移動が行われていることからすれば、当社が保有しているとする現金相当額(令和4年8月末現在で約65百万円)は、実際には存在していないものと認められる。」

預金ではなく、現金で持っているというのがあやしすぎる...。検査の前に、現金を預金に預け入れたことにして(実際は借りてきたカネ)、残高証明書を入手、検査後に、預金を現金で引き出し、現金のまま保有していることにしている(実際は借りた先に返済)ということなのでしょう。

(金融庁資料より)

ロンナル・フォレックス

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