アサツー ディ・ケイが買収した会社で買収前に粉飾決算をやっていた事件で、アサツー ディ・ケイがファンドに対して補償請求等を行う方針だという記事。
「アサツー ディ・ケイは、2月20日、連結子会社ゴンゾの買収以前の不適切な会計処理に関し、いわかぜ1号投資事業有限責任組合(いわかぜファンド)に公開買付応募契約の表明保証違反に基づく補償請求損害賠償を行なうと発表した。訴訟外での解決が難しい場合には訴訟の提起も行なう考え。同時に、問題の責任を明確にするため、石川真一郎社長の月額基本報酬30%の返上と、取締役副社長の勝村良一氏と根本慎太郎氏に解任または辞任の処分を行うことも決定した。」
これは、東芝のケースと似ている部分があります。つまり、変な会社を買収してしまい、買収後に想定外の純資産水増しが発見され、水増し分はのれんに計上されたという点です。ただし、東芝の場合は、のれん追加計上が大きすぎて、減損処理せざるを得なかったわけですが、アサツーDKの場合は、のれんに計上したままのようです。
(開示事項の経過報告)当社連結子会社による不適切な会計処理についてのお知らせ(アサツー ディ・ケイ)(PDFファイル)
「当社は、当社によるゴンゾの公開買付価額の妥当性につきましては、問題がないと考えております。それといいますのも、当社は、公開買付に係るいわかぜキャピタルとの交渉を、マルチプル法により算定した企業価値を基に行って参りました。今般ゴンゾにおいて認められた不適切な会計処理により、ゴンゾには簿外債務が存在していることが発覚し、当初の想定を上回る純資産の毀損が生じましたが、当該簿外債務の存在は、当社が公開買付価額決定時にマルチプル法により算定した株式価値の基礎となるゴンゾの事業計画には影響を与えないため、ゴンゾの事業価値には影響を及ぼさず、また当該簿外債務による有利子負債の増加を考慮しても、なお、当社が算定した株式価値が公開買付価格を上回っているためでございます。」
買収価格は妥当だといっていますが、仮に買収価格に問題がある場合には、その問題がある買収金額に基づいて計上されたのれんもおかしいということになってしまいます。その場合にどうするのかについては、いろいろ考え方がありそうですが、訂正後の決算数値に基づき適切な時価を計算して、実際の買収価格(粉飾決算数字に基づいて決定されたもの)との差額を損失計上するのではないでしょうか。ファンドからの賠償金は、確定した時点で利益計上でしょう。
(開示事項の経過報告)当社連結子会社による不適切な会計処理についてのお知らせ(当社調査結果)(アサツー ディ・ケイ)(PDFファイル)
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