goo blog サービス終了のお知らせ 

会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

旭化成「巨額減損で最終赤字」でも前向きな理由(東洋経済より)

旭化成「巨額減損で最終赤字」でも前向きな理由

旭化成の2023年3月期業績予想が赤字となった原因である米国事業について解説した記事。のれん減損が生じたのは、グルーピングの変更がきっかけのようです。

「旭化成が減損損失を計上したのは、リチウムイオン電池向けセパレーターを手掛けるアメリカの子会社ポリポアだ。旭化成は2015年に約2600億円で買収していた。

リチウムイオン電池向けのセパレーターには、製法が異なる乾式と湿式の2種類がある。旭化成は、湿式はもともと約40年前から展開してきた。買収によって手に入れたポリポア社が展開するのは、乾式のほうだ。」

「乾式はコスト重視のリン酸鉄系に主に採用され、バスやトラックなど大型の商用車に多く使われているものの、EV市場の成長を十分に享受できてはいない。最近では一部の低価格帯のEVの乗用車向けにもリン酸鉄系が使われてはいるものの、そこでは安い中国メーカーの乾式の製品が圧倒的に強い。

こうした今のEV向けリチウムイオン電池需要の状況を、旭化成はポリポア買収時の7年前には読み切れなかった。減損損失の発表に合わせて開いた説明会で、旭化成の工藤幸四郎社長は「市場が不透明な中、想定していた見立てとはずいぶん違う結果になった」と語った。」

湿式の方は好調なのだそうですが、その好調な湿式と買収した会社がやっていた乾式とを、従来は同じ事業グループとしていたそうです。

「旭化成はこれまで、湿式セパレーターと、ポリポアが持つ乾式などのセパレーターを1つの事業(グループ)として扱ってきた。」

しかし、今回、そのグルーピングを2つに分けたことにより、業績の違いが会計処理に反映されることになって、のれん減損が発生したそうです。

「だが、以上のように湿式と乾式で明暗が分かれていることから今回、グルーピング(グループ単位で資産価値を評価する方法)を解くことに決めた。」

「これに伴ってポリポア単独での資産評価をしたことで、巨額減損は発生した。つまり見方によっては追い風が吹く状況が、「減損発生で最終赤字」という結果に繋がったともいえる。

減損はあくまでも会計ルール上に基づく評価上のものであり、キャッシュアウトは伴わない。来年度以降の会計上の償却費を「先払い」したとも捉えられる。これまでは年間で約150億円ののれん償却費が営業損益を押し下げてきたが、来年度からはその重石も消える。」

減損処理は、なるべく小さなグルーピングで行うのが原則なので、原則にしたがって、よい方向に変更したということになるのでしょうが、決算政策的なものも感じられます。(そもそも、最初から分けておくべきだったかも)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事