特設注意市場銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求:(株)アルデプロ
東京証券取引所は、株式会社アルデプロ株式の特設注意市場銘柄の指定及び同社に対する上場契約違約金2,880万円の徴求を、2023年11月29日に公表しました。
「株式会社アルデプロ(以下「同社」という。)は、2023年9月28日、同社における不適切な会計処理に関する社外調査委員会の調査報告書を開示し、また、当該調査報告書を踏まえ、同月29日付で、過年度の決算内容の訂正を開示しました。
これらにより、同社では、代表取締役社長の主管であった不動産売買が、循環取引の一部を構成するものであったこと、また、循環取引に関し実態のない売上高、売上原価及び営業利益を計上する会計処理を行い、2023年7月期第3四半期の決算短信について、上場規則に違反した虚偽の開示を行っていたことが明らかになりました。上記の決算内容の訂正は、同社の同期間における売上高が5割以上減少し、営業利益が2割以上減少する水準でした。
さらに、同社は、上記調査報告書を踏まえ、2023年9月29日及び同年10月12日付で、複数の不動産売買に係る開示及び支配株主等に関する事項の開示を訂正しました。
これらにより、同社では、代表取締役社長の主導する複数の不動産売買が、同社の大株主により実質的に支配されている合同会社を相手方とする取引であったにもかかわらず、当該不動産売買に係る適時開示資料において資本関係及び人的関係がない相手方との取引である旨を記載しており、上場規則に違反した虚偽の開示を行っていたことが明らかになりました。また、支配株主等に関する事項の開示においても、当該不動産売買に関する適切な記載を行っておらず、上場規則に違反した開示を行っていたことが明らかになりました。」
過去に特設注意銘柄に指定され、再発防止策を策定したのに、時間の経過で、元に戻ってしまったようです。また、社長自ら残高確認回答書を偽造するなどしていたようです。
「こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・過去に特設注意市場銘柄への指定を受けて策定された再発防止策について、特設注意市場銘柄の指定解除後、時間が経過する中で、その運用等に複数の不備が認められる状況が生じていたものの、経営陣はこれらを是正するための十分な対応を行っていなかったなど、不正防止のための牽制体制が適切に機能していなかったこと
・代表取締役社長による取引先名義の残高確認回答書の作成及び監査法人への提出や、取締役による取引先との契約違反の疑義がある行為の実施など、代表取締役社長を含む経営陣がコンプライアンス意識に欠けた行為を行っていたこと
・代表取締役社長が取締役会等に対して不動産売買の相手方である合同会社への匿名組合出資の実態等を秘匿したまま取引を行ったことにより、本来、密接な関係にある大株主が関与する取引について、取締役会にて行うべき取引の公正性や妥当性、関連当事者取引への該当性の有無などの適切な検証が行われておらず、内部統制の無効化が生じていたこと」
当サイトの関連記事(2023年9月)(過年度決算訂正時)
このあと10月12日に、訂正報告書を再訂正しています。
過年度の有価証券報告書の訂正報告書の再提出に関するお知らせ(PDFファイル)
内部統制報告書で、重要な不備を開示しています。
財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(2023年10月31日)(PDFファイル)
「1. 開示すべき重要な不備の内容
当社は、2023 年7月 19 日付で公表した「社外調査委員会の設置に関するお知らせ」でお知らせいたしましたとおり、外部からの指摘により、貸付債権に係る貸倒引当金の計上、取引先の連結子会社該当性等に関する疑義等、また類似事案の存否の調査を行うため、社外調査委員会を設置し、原因分析、事実関係の調査を行いました。
2023 年9月 22 日付で調査報告書を受領し、類似事案の調査の結果、一つの信託受益権の売買取引が経済的実質を伴わないため、営業取引として扱うべきでなく、売上計上はできないとの指摘を受けました。
当社は、報告内容の検討の結果、2023 年7月期第3四半期財務諸表に含まれる誤謬を訂正することとし、2023 年7月期第3四半期の四半期報告書の訂正報告書を 2023 年9月 29日に提出いたしました。
当社は、これらの内部統制の不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。」
東証による処分に関するプレスリリース。
特設注意市場銘柄の指定、上場契約違約金の徴求および再発防止策の公表延期に関するお知らせ(2023年11月30日)(PDFファイル)
「当社は、2023 年9月 22 日付で受領した、社外調査委員会による調査報告書の提言を踏まえた再発防止策等を、本年 11 月末までに策定・公表する予定でおりました。
しかしながら、今回の特設注意市場銘柄指定を受けて、今後当社のガバナンス・内部管理体制を再整備し強化していくために、さらに踏み込んだ改善計画を策定し、1年の改善期間を経て、特設注意市場銘柄の指定解除が受けられるよう、実効性のある防止策を策定することが最優先事項であると判断し、本日付での再発防止策の公表を延期させていただくことといたしました。」
東証に再発防止策案を見せたら、ダメだと言われたのでしょうか。
監査人も交代しています。
会計監査人の異動に関するお知らせ(2023年9月29日)(PDFファイル)