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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

リーマンだました手口明らかに 丸紅偽造文書問題

リーマンだました手口明らかに 丸紅偽造文書問題

「丸紅」の偽造文書などが悪用されて、リーマン・ブラザーズなどがだまされた(とされる)事件の手口を取り上げた記事。

「関係者の話によると、アスクレ社は主な業務を病院再生ビジネスと説明し、経営不振の病院に、備品や医療器材の仕入れ先を変更させ、丸紅が安い価格で資材を一括納入することで、経営を再生させるなどと、投資計画を提案していた。

 リーマン側は昨年10~11月、5回にわたり総額約400億円を出資。そのうち、初期に投資した1回分約50億円は約3カ月後に約束通り償還された。通帳には振込人として「マルベニ」とカタカナで表記され、丸紅本社から返済があったかのように装われていたという。しかし、残り350億円は未償還となっている。」(アスクレ社=アスクレピオス(東証マザーズ上場「LTTバイオファーマ」の子会社))

手元の古い監査実務の本には、次のように書いてあります(記事のように外部者の不正ではなく会社内部の不正について述べています)。

「むしろ”銀行振込であるが故に安全”と思う誤解が盲点となって会社内部者による巨額な不正・詐欺を見逃してしまう結果を招来することもある。」

「・・・犯行が高度化すると、送金者名を犯罪者自身とせず、回収先得意先名とすることも行われる。そしてこの場合、送金元の銀行を回収先得意先の通常の支払取引銀行(支店)とすれば、自社の帳簿上は、表面上・外形上、内入り入金開始以外に疑念をもつ余地のない入金取引となるわけである。」(野々川幸雄著「勘定科目別にみた異常点監査の手法」←リスクアプローチ至上主義者からは嫌われている本ですが、大いに参考になることもあります。)

このくらいのことは金融機関勤務者が知らないはずはないと思うのですが・・・。

また記事によれば「一連の出資交渉は昨年秋ごろから始まった」そうですが、昨年5月にLTTバイオファーマとアスクレピオスの統合が発表された際には、東証が、LTTバイオファーマは実質的な存続会社でないと認定しています。交換比率から株数を計算してみると、たしかに、形式上子会社であるアスクレピオスの元株主の出資比率の方が高くなります。だからルールに反しているということにはなりませんが、少しあやしいと感じてもよさそうなものです。

株式交換による株式会社アスクレピオスの完全子会社化に関する東京証券取引所の審査について(PDFファイル)

アスクレピオス完全子会社化の際のプレスリリース(PDFファイル)

ちなみに、LTTバイオファーマの会計監査人は、トーマツ(2007年3月期)→霞が関監査法人→プライム監査法人となっています。霞ヶ関からプライムへの交代は期中交代ですが、「アスクレピオスの立替金にかかる会計処理に関し見解の相違が発生」したことが交代のきっかけとなっています。

会計監査人の退任と一時監査人選任に関するお知らせ(PDFファイル)
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