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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

英中銀、年金基金の国債売りクラッシュ懸念-ファンドに担保請求(ブルームバーグより)

英中銀、年金基金の国債売りクラッシュ懸念-ファンドに担保請求

英国の年金基金のために資金運用している年金負債対応投資(LDI)ファンドが、英新政権の大型減税案による英国債相場の急落で、一時、たいへんな状況になったという記事。イングランド銀行(英中央銀行)は、それに対応して、長期国債を無制限に買い入れる市場介入に踏み切ったそうです。

「英国債価格の崩落で、LDIファンドは追加の担保差し入れを迫るマージンコールに直面した。イングランド銀行(英中央銀行)は、追加の担保請求が相場のさらなる急降下を招く恐れが出たため、28日に長期国債を無制限に買い入れる市場介入に踏み切ったもようだ。

介入に先立つ協議に詳しい関係者1人によれば、英中銀はここ数日、複数の投資銀行とファンドマネジャーから担保請求が英国債のクラッシュ(暴落)の引き金になりかねないと警告されたという。

エーオンの投資パートナー、カラム・マッケンジー氏は英中銀の介入発表後、「英国債のエクスポージャー売却を強いられる年金基金にとって悪循環がなお一層危険なものになる事態を防ぐため、中銀の介入が必要だった。市場が直ちに大きく反応したことは、年金負債ヘッジを減らしたか減らす恐れのあった年金基金がさらされていたリスクの大きさを浮き彫りにする」との認識を示した。」

単に国債を保有しているというだけでなく、デリバティブを活用しているため、そういうことになったようです。

「世界有数の資産運用会社である米ブラックロックやリーガル・アンド・ゼネラル・グループ、シュローダーが、年金基金の顧客のためにLDIファンドの運用を行っている。年金負債の現在価値の変動にマッチする年金資産の運用を行うため、デリバティブ(金融派生商品)などを活用する。」

英中銀、国債購入で「年金危機」回避 低金利のひずみ露呈(日経)(記事冒頭のみ)

「英イングランド銀行(中央銀行)が英国債の購入に突如、転換した。電撃的な買い入れに踏み切ったのは、年金基金が破綻する事態を避けるためだ。低金利を前提にリスクが潜む運用に傾斜した年金が、国債価格の急落で資金難に陥りかねなかった。低金利下でたまったひずみが歴史的なインフレであぶり出された格好だ。超低金利が続く日本にも危機の芽が潜んでいる可能性がある。」

「トラス政権が23日に大規模な減税策を発表した後、インフレや財政悪化への不安から英国債利回りは急騰(価格は急落)し、年金基金などが運用する30年物国債は3%台後半から一時5%強まで跳ね上がっていた。イングランド銀は22日に発表したばかりの国債売却の方針を延期して買い支えに動いた。」

日本企業の企業年金は大丈夫なのでしょうか。金利水準が上がれば、退職給付債務は小さくなりますが、年金資産(時価評価される)に債券投資が多く含まれていれば、年金資産は目減りします。バランスしていればよいのでしょうが、債券の中身次第で、そううまくはいかないでしょう。日経記事によれば、デリバティブはあまり使われていないとのことなので、デリバティブの評価損のために追加担保が必要となり資金繰り難になるというおそれは、ないのかもしれません。

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