東京証券取引所が、日産自動車に対し改善報告書の提出を求めたという記事。
「日産は昨年12月以降、元会長のカルロス・ゴーン被告の役員報酬を虚偽に記載していた問題が発覚。過年度にわたる有報の訂正を迫られた。東証は市場機能や投資家の信頼を損ねたとして、内部管理体制の改善を求める。
改善報告書は再発防止策や不正の経緯などについて説明を求め、27日までの提出を義務付ける。提出した6カ月後には、改善策の実施状況などを示した別の報告書の提出を再度求める。東証は日産の内部管理体制について、ゴーン氏に人事や報酬についての権限が集中していたことや、管理部署の監視機能が働いていなかったと指摘。適正な業務運営をするために上場企業が最低限守るべき事項に違反したとした。」
しかし、「上層部の数人の関与にとどまっていたことや、過去の事例と比べて市場への影響が少なかった」という理由で、「特設注意市場銘柄」にはしないそうです。
ということは、虚偽記載は虚偽記載でも、重要な虚偽記載でなかったと東証が判断したことになるのでしょう(重要でなかったのならなぜ特捜部まで登場するのか...)。「上層部の数人の関与にとどまっていた」ということでは、「飛ばし」を少数の幹部だけで隠していたオリンパスも同じです。
公表措置及び改善報告書の徴求:日産自動車(株)(東証)
東証の発表を見ると、日産のガバナンス改善特別委員会の報告書と過年度有報などの訂正にもとづいて、判断しているようです。しかし、ガバナンス改善特別委員会は、報道などによれば、不正自体については自ら調べていないようですし、有報などの訂正報告書にもどういう不正だったのかはきちんと開示されていません。
日産側の発表を鵜呑みにしないで、東証が自らきちんと調べるべきです。特に、文藝春秋最新号で不正への関与が報じられた現社長のことは徹底的に調べるべきでしょう。
「同社は内部統制の再構築など再発防止策の実施を進めていますが、このような体制の不備について改善の必要性が高いと認められることから、その経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求めることにしました。」
日経記事では「不正の経緯」の説明を求めるように書いていますが、東証の発表文では単に「その経緯」としか書いておらず、「再発防止策の経緯」とも読めます。
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