日本公認会計士協会は、監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正案を、2006年4月28日付で公表しました。
会社法及び関連法務省令の施行、財務諸表等規則・監査証明府令等の改正を受けたものとのことです。
委員会報告の主な内容には入らない会社法絡みの細かい点を挙げておきます。
「任意の会計監査人設置会社で取締役会を設置していない会社の場合には、「代表取締役」等を宛先とする。」(取締役会のない株式会社があるため)
「会社法監査においては、会計監査人の会計監査報告の内容について、会社計算規則第158条第1項において特定監査役及び特定取締役(会社計算規則第158条第4項に定める者をいう。)に通知する旨の規定があるので、宛先が「取締役会」又は「代表取締役」等でも事務的には監査報告の内容をそれぞれの規定に従い特定監査役及び特定取締役に通知するものとする。」(会社法では、単に監査報告書を提出するだけでなく「会計監査報告」を行うことになっています(監査報告書の提出も含んだ概念と思われますが)。)
(監査報告書の文例より)
「当監査法人(注2)は、会社法第436条第2項第1号の規定に基づき、○○株式会社の平成×年×月×日から平成×年×月×日までの第×期事業年度の計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注3)並びにその附属明細書について監査を行った。」(根拠条文と監査範囲が変わりました。)
「(注3) 会社計算規則第89条第3項の規定に基づき、個別注記表と題する計算関係書類を作成していない場合には、「計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表並びにその附属明細書」を「計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書
及び株主資本等変動計算書並びにその附属明細書」とする。」(「注記表」というかたちでまとめて注記していない場合の文例です。)
「会社法監査報告書の意見については、会社計算規則第154条第2項によれば、無限定適正意見、除外事項を付した限定付適正意見、不適正意見とされている。意見に関する除外がある場合の会社法監査報告書の具体的な取扱いについては、証券取引法監査における監査報告書と基本的に同様と考えられ、証券取引法監査における監査報告書の取扱いに準ずるものとする。」(会社法も証取法もほぼ同じ監査意見の書き方になります。)
「会社計算規則第158条第3項では、会計監査人が会計監査報告の内容を、特定監査役等及び特定取締役に対し、同条第1項各号に規定する通知をすべき日までに通知しない場合には、当該通知をすべき日に、計算関係書類については会計監査人の監査を受けたものとみなすとされている。同条第3項は、何らかの事由により当該監査期日までに監査が終了せず、かつ、計算関係書類の作成者側との間で通知期限延長の合意が成立しない場合に、その後の手続を継続できるようにするための規定であり、この場合には、結果的に会計監査人は「意見を表明しない」ことになる。」(よくわからなかった会社計算規則158条第3項の趣旨の説明です。)
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