東証1部上場のアーバンコーポレイションが、民事再生手続きの開始を申し立てたという記事。負債総額は約2558億円。
「アーバンコーポレイションは90年創業。マンション分譲事業に加え、収益性が低くなったオフィスビルなどを買い入れて改修・改装しファンドなどに売却する不動産流動化事業に力を入れ、事業規模を拡大してきた。しかし、米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題の影響で、金融機関が不動産向け融資を絞ったため、資金調達が困難になったほか、マンション市況の低迷で開発済み不動産の売却も困難になり、資金繰りが悪化した。」
不動産流動化事業、マンション分譲
【東証1部】、今年最大の倒産
株式会社アーバンコーポレイション
民事再生法の適用を申請
負債2558億3200万円
「2003年3月期に連結ベースで約325億1400万円(単体=約279億8300万円)だった年売上高は、2008年3月期には連結ベースで約2436億8500万円、経常利益約616億7700万円と過去最高の業績(単体の年売上高=約1324億7200万円、経常利益=約555億5200万円)をあげ、特別目的会社を含めた連結子会社138社(2008年3月末時点、そのほかに非連結子会社などあり)を抱える大手新興デベロッパーとして営業基盤を確立していた。
しかし、売り上げが急伸する一方で、不動産開発資金を中心に借入金が増加、2008年3月期の連結有利子負債は4078億円にまで達していた。・・・」
売上高が5年で8倍近くになっていますが、有利子負債も売上以上の金額に膨れ上がっています。不動産流動化というと、資産を抱え込まないでリスクを分散するというイメージを受けますが、投資家が買えるような商品に仕立て上げるまでは、誰かがリスクを負わなければなりません。好意的に見れば、アーバンコーポのような会社がそうした役割を担っていたのでしょう。
金融庁・警察・銀行 寄ってたかっての土地バブル潰し
これは1ヶ月前ほどの記事ですが、改正建築基準法による建設許可の遅延、金融機関の“貸し渋り”、サブプライム問題の表面化が不動産業界へのトリプルパンチだそうです。「反社会的な組織(反社)に関係すると思われる企業への締め付け」も背景にあるそうです。
広大跡開発など先行きに不安
苦境の新興不動産 相次ぐ破綻
アーバンコーポ破たんは今年最大規模、債権者となる金融機関は100社弱
「・・・14日発表する予定だった08年4―6月期決算に対して、監査法人が「意見不表明」の態度を示す方針が伝えられたと説明した。監査法人から「向こう1年間の資金繰りのメドが立ちにくい」との指摘があったという。」
四半期レビュー倒産第1号ということでしょうか。もちろん、金融支援が得られるという納得できる説明があれば、ゴーイングコンサーンの前提に関して、意見不表明となることはなかったはずですが・・・。
(補足)
四半期財務諸表等に対する四半期レビューの結論の不表明に関するお知らせ(PDFファイル)
会社のプレスリリースのよると、監査人による意見不表明は、民事再生手続き申し立てが理由になっています。どの監査法人であっても同じ結論だったでしょう。(申し立て以前にどういう打ち合わせがあったかはわかりませんが・・・)。
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