巨額横領に揺れるベトナム 中銀幹部にも逮捕者(記事冒頭のみ)
ベトナムのサイゴン商業銀行(SCB)という民間の銀行で2兆円規模の横領事件が発覚したという記事。
「ベトナムが過去最大の企業不正に揺れている。民営のサイゴン商業銀行(SCB)で2兆円規模の横領事件が発覚し、実質的経営者のほか監督責任を負う中央銀行の検査チームの担当者らも贈収賄容疑で逮捕された。前代未聞の巨額不正に中銀が関与する異例の事態で、責任追及がどこまで及ぶかも注目される。」
よく読むと、たしかに広い意味での横領とはいえますが、「乱脈融資」とでもいった方がよいかもしれません。
バン・ティン・ファット(VTP)という不動産会社の会長が、他人名義の株式保有でこの銀行を支配していて、銀行幹部と共謀し、自分の関連会社に304兆ドン(約1兆8000億円)を不正に融資させていたとのことです。
銀行を監督するベトナム国家銀行の検査担当者らもわいろを受け取って隠蔽に加担した疑いで逮捕されているそうです。
日本でも、20年ほど前には、大蔵省しゃぶしゃぶ事件というのがありました。
「23年前より明らかに処分が軽い」高級官僚の"超絶接待"はまだまだ終わらない(プレジデント)
1998年の事件です。
「事件はひとつの汚職事件から発覚した。東京地検特捜部が日本道路公団の外債発行の幹事証券選定で、野村証券から贈賄があったとして、大蔵省OBの道路公団理事と野村証券元副社長らを逮捕した。その後、捜査は銀行や証券会社に対する便宜供与に及び、大蔵官僚が次々と逮捕されていった。直接の容疑は収賄を受けて検査日程など機密情報を漏らしたというものだったが、世間の関心は業者による過剰な接待に向いた。
「大蔵省に家宅捜査が入った。当時の大蔵省は「役所の中の役所」とされ、大蔵官僚の自尊心も高かった。大蔵省の検査官が1月26日に逮捕されると、当時の三塚博大蔵大臣は1月28日に辞任に追い込まれた。3月11日には日本銀行の課長が逮捕され、3月20日には大蔵省事務次官から日本銀行総裁になっていた松下康雄氏が総裁を辞任した。
大蔵省は4月末に内部調査結果を公表。銀行局審議官を停職、証券局長を減給にするなど、112人に処分を行った。処分は停職1人、減給17人、戒告14人、訓告22人、文書厳重注意33人、口頭厳重注意25人に及んだ。事件の最中、官僚で自殺した人も出た。局長も審議官も次官候補と見なされていたが、処分を受けて退職した。」
乱脈融資ということでは、平和相互銀行事件というのもありました。そのほかにも...
今では想像できない「あの時代」の銀行の姿 乱脈融資に反社会勢力とのつながり(東洋経済)
ベトナムのような新興国だから起きる問題というのではないのでしょう。