米ウィーワークが、ソフトバンクグループに対する訴訟を起こしたという記事。約束していた株式買い取りを実行しろと主張しているそうです。
「経営が悪化したウィーワークに対して、これまで投資を行ってきたソフトバンクグループは、去年10月、日本円でおよそ1兆円の追加支援を行うと発表しました。
しかし今月になって追加支援のうち、ウィーワークの既存の株主から最大で30億ドル、日本円で3200億円分の株式を買い取る措置は取りやめると発表しました。
これに対してウィーワークの親会社の取締役で作る特別委員会は「株式買い取りという義務を免れることはできない」などとして、予定どおり買い取るよう求めて7日、東部デラウェア州の裁判所に訴えを起こしました。」
「ソフトバンクグループは、投資先のアメリカのシェアオフィス大手ウィーワークの親会社の取締役で作る特別委員会から提訴されたことについて、「株式の買い取りを取りやめたのは、去年10月にウィーワークや特別委員会などと合意した条件が満たされなかったためで提訴は見当違いなものだ」というコメントを発表しました。」
ソフトバンクGを提訴、TOB取りやめで-ウィーワーク取締役2氏(ブルームバーグ)
「ソフトバンクGはウィーワークのアダム・ニューマン前最高経営責任者(CEO)や他の株主から30億ドル(約3270億円)相当の株式を買い取ることで合意していた。
ウィーワークの特別委員会は7日の発表資料で、ソフトバンクGは合意を履行しなかったことで、契約上の義務とフィデューシャリー・デューティー(信任を受けた者が履行すべき義務)に違反したと主張した。」
今になって、いろいろと理由をつけて、買い取りを拒否したというのは、もともと、ウィーワーク株主に対して甘い条件であり、価格が高すぎたということでしょうか(評価を下げるとソフトバンクGの持分の評価減がより大きくなった?)。新型コロナの影響などで、その後、株式の時価は下がっているでしょうから、拒否しないと、買い取り価格と時価との差額を損失計上することになります(ソフトバンクグループのプレスリリースでそのように述べている)。
訴訟を起こされた以上、敗訴して、買い取らざるを得なくなったり、敗訴の可能性が高くなった場合は、損失計上することになります(その時点で時価<買い取り価格、の場合)。米国も、ウイルス対応で民事裁判どころではないでしょうから、結論が出るのはしばらく先になるかもしれません。その間は時間稼ぎできます。
WeWork関係者によるソフトバンク提訴、今後も続く可能性も?(Forbes)
「ウィーワークの最大の支援者と株主らの争いは、同社の存続を脅かす問題のひとつだ。新型コロナウイルスの感染拡大で世界中の労働者が自宅待機を命じられるなか、ウィーワークのコワーキングスペースはどこも無人になっている。
同社の損失は今後もかさんでいくだろう。2019年1~9月に22億ドルの損失を計上した同社は、各国でレンタルしているスペースの家賃について、所有者との再交渉を進めている。ウィーワークはまた、ソフトバンクが同社株の公開買付け終了後に行うとしていた11億ドルの支援も受けられなくなる可能性もあるとされる。」
WeWorkが3000億円分の株式公開買付けをキャンセルしたソフトバンクに損害賠償を求め提訴(Gigazine)
孫氏「15社は破産する」 10兆円ファンド出資先―ソフトバンクG(時事)
「孫氏は、SBGが運営する10兆円規模のファンドの出資先企業について「(全88社のうち)15社は破産するだろう」と述べる一方、ファンドの運営には問題がないと強調した。」
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