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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

土壇場で反対派委員を大量登用の「茶番」(現代ビジネスより)

土壇場で反対派委員を大量登用の「茶番」
言論封殺の審議会で強行した「IFRS採用先送り」で本当に喜んでいるのは誰か?


IFRSの議論を再開した6月30日の企業会計審議会の模様を伝える記事。

「舞台は6月30日に金融庁で行われた企業会計審議会。国際会計基準IFRSの扱いについて審議するとして、委員が召集された。

 審議会の冒頭、異変が起きた。事務局が新任の臨時委員の名前を呼び上げたのだが、何とその数10人。ここ1年ほど、IFRS導入反対のキャンペーンを精力的に繰り広げてきた佐藤行弘・三菱電機常任顧問ら"反IFRS派"がズラリと顔をそろえた。幕が開いたらメインキャストががらりと変わっていた、というわけだ。」

記事の冒頭にも書かれているように、企業会計審議会も結局「役所がやりたい政策を実現するための隠れ蓑」なのかもしれませんが、それでも、企業会計審議会といえば、開示制度、会計基準、監査基準などについてのさまざまな立場の有識者が議論する場所としてある程度のステータスをもっていたはずです。それが、IFRS反対派のクーデターにより実質的に乗っ取られてしまったのは残念です。審議会の権威はもう元に戻らないかもしれません。

もっとも、会計基準制定という仕事がASBJに移ってしまったので、審議会の仕事も形骸化しているように思われます。特に企画調整部会は、金融庁が、会計制度に関して何らかのお墨付きが欲しいというときに、有識者というよりは、各界のボス的存在の人たちを集め、形式的な議論をさせて認めさせるという役割になっているようです。監査部会も、大地震があったとはいえ、1回も会議を開催せずに四半期レビュー基準改正などの公開草案を公表しています。審議会は、もうそろそろ仕分けすべき時期なのでしょう。

「いくつかの議題を先に議論し、IFRS問題にテーマが移ると、ここでも異常な光景が繰り広げられた。「臨時委員」として任命されたばかりの委員が次々とIFRSへの反対論を述べ始めたのだ。・・・」

「「IFRSは企業を売買するための会計基準」「IFRS採用で含み損が顕在化することを恐れた経営者が年金制度を廃止する恐れがある」「会計制度は文化を反映した制度であるべき」「IFRSは国際資本市場というローカルな場で通用する基準」「IFRSは全面時価と包括利益一本になる」

いずれも事実を誤認したり、短絡的に捉えたうえでの意見に思えた。要望書を出した佐藤氏らは、IFRSを批判しながら、一方で2016年3月まで認められている日本企業のSEC基準(米国基準)使用の期限撤廃を求めていた。要望書に名を連ねた企業の多くがSEC基準を使っており、反IFRS運動の本当の狙いはSEC基準の使用継続ではないか、という見方も出ている。」

わざわざ審議会の委員にせずに、ヒアリングだけしておけばいいと思われますが、いろいろな関係者から意見を聞くことは必要なのでしょう。また、あれだけどたばたしたJ-SOXで懲りずに、全上場会社一斉導入を金融庁が狙っていたとすれば、少し無理があったのだと思います。

米国基準の使用継続についてだけは、反対派の主張に賛成です。IFRSは金融庁が(形式上)ガバナンスに参加しているのに対し、米国基準は金融庁が影響力を行使できない基準です。そういう基準は使わせないという金融庁のメンツのために制限する必要はないでしょう。

「・・・確実に喜んでいる勢力がいる。韓国と中国だ。韓国は今年から上場企業へのIFRS適用を義務付けたが、「韓国企業の決算書に対する国際的な信頼性を向上させるために、IFRS採用を国家戦略として決め、実行してきた」と韓国のIFRS対応に詳しい杉本徳栄・関西学院大学大学院教授は指摘する。

その韓国が狙っているのがIFRSの基準を決めるIASB理事会やその運営母体であるIFRS財団の主要ポスト。日本は理事会に1つ、財団評議員会に2つなど多くの主要ポストを握り、IFRSの基準設定に影響力を持ち始めている。韓国は日本のポスト奪取を狙っているのだ。」

記事によれば、中国の方はIFRS財団のサテライトオフィスを狙っているのだそうです。

ただ、IASBの理事のポストやサテライトオフィスの誘致などは、どうでもいいような話です。ポストは、韓国人だろうが中国人だろうが、適格者であればだれでもいいと思います。「IFRSは全面時価主義でけしからん」みたいな人を送り込んでも、しょうがありません。もちろん、現在の山田理事のような立派な人であれば強力に推薦すればよいでしょう。サテライトオフィスも、他のアジア諸国からも便利で、経費がなるべくかからない場所であれば、別に東京でなくても問題ありません。

米国、国際会計基準を導入する公算大-国際会計基準審議会の議長(ブルームバーグ)

アイ・ラブ・ニューヨーク SECの下心(産経)
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