会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東邦亜鉛、損失1億5900万円 15年3月期(日経より)

東邦亜鉛、損失1億5900万円 15年3月期

東邦亜鉛が不適切な会計処理による損失1億5900万円を計上したという記事。

「建材事業の従業員1人が、13年3月期から前期にかけて建材の売り上げを過大に計上していた。」

重要性が低いため、2015年3月期で営業外費用処理したそうです。

不適切な会計処理に関する調査結果について(PDFファイル)

売上過大計上と、資産流用による不正換金の、2つの不正が行われています。

「ソフトカーム事業部の前営業担当課長であるAが、X社との取引において、受注伝票の不発行、 単価訂正のシステムへの未登録、 請求書の不発行及び遅延並びに販売管理システム上の入金予定日のジャンプ等により、売り上げを過大計上していました。なお、第三者委員会の調査によれば、関与者はAのみでありました。」

「Aがソフトカーム事業部の取引先であるY社において、会社資産である鉛屑、鉛地金及び不良品を買い取らせ、 換金後の代金として現金を受け取っていました。 なお、第三者委員会の調査によれば、換金に関与した取引先はY社のみで、社内の関与者はAのみでありました。換金額は、合計32百万円(平成22年12月~平成27年3月) であったと推計します。 なお、簿外資産及び帳簿上の在庫資産についての管理台帳及び製品台帳の未作成、在庫の月末棚卸しの不実行、出荷登録なしの出荷は、内部統制ルール違反であります。」

X社との取引での売上過大計上は、Aの上司である事業部長のパワハラ的言動によるプレッシャーのもとで、ずるずるとずさんな経理処理を継続した結果、X社との債権債務の差異がたまっていったという感じです(X社との取引条件もやや特殊だった)。不正の計画性はあまり感じられません。

不正換金で登場するY社は、材料を無償支給している(原材料を預けている)加工業者です。その預けている材料や東邦亜鉛の工場で出た鉛屑などを、Y社に買い取らせ、代金を着服したという不正です。着服した資金の使途は、Aが私的に使った部分は一部に過ぎず、部門内の経費(交際費など)に回されたものもあるようです。そこでも、パワハラが関係しています。

また、「売掛金残高確認及び棚卸資産実査の過程でそれぞれ帳簿価格に対し過大計上であることが発覚」したことが、調査のきっかけだったそうです。基本的な手続は、やはりきちんとやらないといけないということでしょう。

再発防止策の中ではパワハラについてもふれています。

社内におけるパワハラが今般事案の主要因であったことから、社内外からの通報に関連する制度等について役職員への教育 ・ 研修を徹底します。」
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