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「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書の公表及び意見募集について

「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書の公表及び意見募集について

金融庁は、「公認会計士制度に関する懇談会」の中間報告書を、2010年8月4日に公表しました。9月2日まで意見募集しています。

報告書では「試験合格しても公認会計士となるための資格を取得できない者(待機合格者)への対応」と「グローバル化等の環境変化に対応した監査・会計分野の人材育成」の2つの課題を掲げ、それぞれについて以下のような方策を議論しています。

1.待機合格者への対応

(1)試験制度は以下のとおり。

・一段階目試験は短答式、二段階目試験は論文式(二段階目の受験者数が増加する場合には、二段階目試験にも短答式を導入)

・実務経験の内容については、監査又は会計に関連する業務

・二段階目試験の合格と実務経験を満たし、実務補習を受け、修了考査(又は三段階目の試験)を経て、監査証明業務の資格

・修了考査の合否判定は厳格化(公認会計士として新たに登録できる者の数は、当面、現在よりも減少)

・修了考査については、公認会計士法に基づき協会が実施するか、国による三段階目試験とするかについて、引き続き検討

(2)一段階目試験の合格の有効期間、二段階目試験の科目別合格の有効期間のいずれについても延長(例えば10年程度)

(3)一段階目試験及び二段階目試験の合格者全員に合格順位を通知

(4)各段階の試験の合格は監査業界や経済界等の就職を保証しないこと、新たな試験・資格制度は働きながらでも受験や資格取得がしやすい制度であること、サンプル調査によれば高齢になるほど合格しても就職できないリスクが高まること等を十分に周知

(5)一段階目試験の合格から二段階目試験の合格までに時間がかかる者については、先に実務経験を求め、実務経験を得たのちに、二段階目試験を受験できることとする

(6)その他

・一段階目試験の合格段階で何らかの途中段階の資格を与えることについては、引き続き検討

・一段階目試験の合格者数については、引き続き検討

2.グローバル化等の環境変化に対応した監査・会計分野の人材育成

(1)「監査証明業務以外は行える会計のプロフェッショナル」(「会計プロフェッショナル」)に係る資格制度を設ける。

(2)「会計プロフェッショナル」は、監査証明業務は行うことができないが、会計分野のプロフェッショナルとして、資格の名称を名乗った上で、非監査サービスや監査の補助業務、企業内実務等に従事することができる。

(3)「会計プロフェッショナル」となるための要件として、1)二段階目試験の合格、2)一定期間(例えば、3年間)の実務経験を求める。

(4)「会計プロフェッショナル」となる資格を有する者が「会計プロフェッショナル」となろうとするときは、日本公認会計士協会に備える名簿に登録

(5)「会計プロフェッショナル」には、登録後、継続的専門研修(CPE:Continuing Professional Education)を義務付け

(6)資格の名称は、例えば「財務会計士(仮称)」

2つの課題との関連性ははっきりしませんが、このほかにも、継続的専門研修の拡充、監査の品質確保のための方策、実務補習、資格取得にあたっての一般教養科目の履修、試験科目・免除要件などについて、ふれています。

(感想)

・「財務会計士」の資格については、公認会計士になる前のステップという、以前の会計士補と同じような位置づけになっています。経済界への人材供給(名刺に書ける資格)が目的なら、公認会計士の資格とは別の資格とすべきでしょう。例えば、1段階目の試験は、公認会計士と財務会計士の共通試験とし、1段階目合格後、職業会計人を目指す人は、公認会計士試験を受験し、企業への就職や社会人のキャリアアップが目的であれば、財務会計士を受験するような制度がよいと思います(公認会計士受験者がすべりどめに財務会計士を受験してもよい)。監査プロフェッショナルへのステップでないのであれば、試験科目から監査を外すこともできます。一般企業勤務者が対象であればCPEも負担のごく軽いものにすべきでしょう。

・合格待機者や(懇談会の検討対象ではないとされていますが)合格後の就職浪人の問題については、要するに、早くあきらめてもらうという方策になっています。監査法人のリストラが大きく報じられるような状況ですから、何もしなくても、そのうち受験者が減少し、問題は解決することでしょう(今苦労している人にとっては何の役にも立ちませんが)。

公認会計士制度に関する懇談会が中間報告 最短で2014年試験から、「財務会計士」は競争力を持つか(@ITより)

「米国公認会計士試験の国内受験が2011年春にも始まる予定。すでに各受験スクールへの問い合わせが相次いでいるという。米国がIFRS受け入れを最終決定し、世界の会計基準がIFRSで統一される流れができると、米国公認会計士と財務会計士は競合関係になる可能性がある。公認会計士になるための通過資格としての財務会計士は高い競争力を持つと考えられるが、単独資格としてはどうだろうか。米国公認会計士との間で有能な人材の取り合いになる可能性がある。」
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