安倍首相が東京電力に対し、東電福島第一原発5,6号機の廃炉を要請したという記事。
「安倍晋三首相は19日、東京電力福島第1原発を視察し、事故後に廃炉が決まった1~4号機と同じ敷地内にある5、6号機について、廃炉とするよう東電に要請した。」
首相に廃炉を命じる権限はないので、首相からの要請があったからといって廃炉しなければならないということはないのでしょう。しかし、事故から2年半以上経過していて、再稼働の見込みはまったくないわけですから、会計処理上は、首相からの指示の有無にかかわらず、当然、減損処理していなければならないはずです。
また、東電の社長から廃炉のための予算を1兆円プラスするという発言があったようです。
「広瀬氏は、予算に関し「すでに引き当てている1兆円にプラスして1兆円を確保していく」と応じた。」
社長自ら1兆円が追加で必要といっている(1兆円という数値を挙げている以上何らかの積算根拠があるはず)わけですから、廃炉のための引当金を少なくとも1兆円積み増ししないと理屈にあいません。
第2四半期(2013年4-9月)で、きちんとした会計処理が行われるかどうか、監視する必要があります。もっとも、会計マジックにより、すでに最低3兆円を超えるような規模の実質的粉飾がおこなわれており、大勢には影響しないのかもしれませんが・・・。
福島第1原発全号機廃炉へ、首相が東電に指示(ロイター)
「・・・首相に同行した東電の広瀬直己社長は年内に判断すると回答したが、拒否することはないとみられ、全6基の廃炉は確実だ。」
「1─4号機の廃炉方針については、事故発生から3週間後の2011年3月末、東電の勝俣恒久会長(当時)が意向を表明する一方で、5、6号機は再稼働の可能性が全くないにもかかわらず東電が廃炉を決定していないのは、引当金不足が影響しているとみられる。」
「経産省はこの夏、廃炉決定後も10年間は電気料金で費用を回収できる会計制度を導入する方針を打ち出し、年内にも実施する方向だ。首相による5、6号機の廃炉指示も関連制度が整ったからといえそうだ。」
この「会計制度」については別途取り上げたいと思います。
東電:柏崎刈羽再稼働狙い 福島5、6号機廃炉に前向き(毎日)
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