会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

【書評】『狂信者』 AIJ事件発覚の裏に記者たちの執念(Yahooより)

【書評】『狂信者』 AIJ事件発覚の裏に記者たちの執念

AIJ事件をもとにした『狂信者』という小説の書評。

「『狂信者』は、2012年2月に発覚した投資顧問業のAIJ事件をベースにしている。AIJが預かって運用した資産の95%が消えた空前の経済事件だった。消失額2000億円というのは当時、日本経済新聞の編集委員をしていて、巨額不正にはある程度慣れっこになっていた私にとっても信じられない額だった。

当時、報道はAIJ事件一色となったが、事件発覚から5年がたった。過去の経済事件と同様に風化している。だが、忘れてしまうには惜しい事件であり、見直したい時期にいまの日本はある。」

「2008年9月のリーマンショック。その後は世界の金融市場は荒れ、ほとんどの投資顧問会社が巨額の損失を計上したが、AIJだけは良好な投資収益を計上し続けていた。
 そのため、AIJの浅川社長は運用のカリスマとして小説のタイトルにもあるような「狂信者」たちに囲まれていた。裏返していえば、低金利でリーマンショックがなくても立ち行かなくなっていた企業年金基金には、わらにもすがるような思いでAIJに資金を委託する人々がいたのである。

悪くいえば、だまされたがっていた「狂った信者」なしでは、事件はありえなかった。大型金融事件につきもののこうした「信者」を、過剰接待や、天下り官僚をたらしこんでいく姿などとともに書き込んでいるところに、この小説の醍醐味はある。」

大きな事件でしたが、専門誌の記者による取材・報道がなければ、ニュースにならなかった可能性もあったようです。

4344426533狂信者 (幻冬舎文庫)
江上 剛
幻冬舎 2017-10-06

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