会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」の公表(企業会計基準委員会)

実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」の公表

企業会計基準委員会は、実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」を、2020年9月29日付で公表しました。

金利指標改革により、ロンドン銀行間取引金利(「LIBOR」)の公表が 2021 年 12 月末をもって恒久的に停止され、LIBOR を参照している契約において、参照する金利指標の置換が行われる可能性が高まっています。

今回の実務対応報告は、LIBOR を参照する金融商品について必要と考えられるヘッジ会計に関する会計処理及び開示上の取扱いを明らかにするものです(2項)。

以下のような内容です(「本実務対応報告の概要」より抜粋)。包括ヘッジ、時価ヘッジ、特例処理(金利スワップの特例処理や外貨建会計処理基準等における振当処理)についても規定していますが、ここでは省略します。

範囲(3 項ほか)

「金利指標改革に起因して公表が停止される見通しであるLIBOR を参照する金融商品について金利指標を置き換える場合に、その契約の経済効果が金利指標置換の前後で概ね同等となることを意図した金融商品の契約上のキャッシュ・フローの基礎となる金利指標を変更する契約条件の変更のみが行われる金融商品を適用範囲とする」

「こうした契約条件の変更と同様の経済効果をもたらす契約の切替に関する金融商品も適用範囲とする」

「本実務対応報告の公表後に新たに LIBOR を参照する契約を締結する場合、その金融商品も適用範囲に含まれる」

(以下の規定も、基本的には、この「範囲」に含まれる金融商品が対象です。)

金利指標置換前の会計処理

ヘッジ対象又はヘッジ手段の契約の切替(5 項)

「本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用している場合、金利指標改革に起因する契約の切替が行われたときであっても、ヘッジ会計の適用を継続することができる 」

ヘッジ対象となり得る予定取引の判断基準(6 項)

「ヘッジ対象の金利指標が、金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことができる」

ヘッジ有効性の評価

「ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する金利指標は既存の金利指標から変更されないとの仮定を置いて事前テストを実施することができる」(7項)

事後テストにおける有効性評価の結果、ヘッジ有効性が認められなかった場合であってもヘッジ会計の適用を継続することができる」(8項)

金利指標置換時の会計処理(13項)

「金利指標置換時において、ヘッジ会計開始時にヘッジ文書で記載したヘッジ取引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができる」

金利指標置換後の会計処理(14 項、17 項ほか)

「金利指標置換前において本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用していた場合、金利指標置換時以後において、本実務対応報告第 8 項の取扱いを適用し、ヘッジ会計の適用を 2023年 3 月 31 日以前に終了する事業年度まで継続することができる」

「本実務対応報告の公表から約 1 年後に、金利指標置換後の取扱いについて再度確認する予定」

注記事項(20 項ほか)

「本実務対応報告を適用しているヘッジ関係について、次の内容を注記」

「(1) ヘッジ会計の方法(繰延ヘッジか時価ヘッジか)並びに金利スワップの特例処理及び振当処理を採用している場合にはその旨
(2) ヘッジ手段である金融商品の種類
(3) ヘッジ対象である金融商品の種類
(4) ヘッジ取引の種類(相場変動を相殺するものか、キャッシュ・フローを固定するものか)」

「一部のヘッジ関係にのみ適用する場合には、その理由を注記する」

「連結財務諸表において上述の内容を注記している場合には、個別財務諸表において記載することを要しない」

公表日以後適用することができます。また、ヘッジ関係ごとにその適用を選択することができます。
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