(令和4年12月23日)スタートアップをめぐる取引に関する調査結果について
公正取引委員会は、スタートアップをめぐる取引に関する調査結果を、公表しました。
公正取引委員会と経済産業省は、令和3年に、スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的として、「スタートアップとの事業連携に関する指針」を策定し、令和4年3月に、同指針を改正して「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」を策定しました。
本調査は、「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月)に関する取組として、指針を踏まえた取引が行われているかどうかを把握するため、実施されました。
スタートアップと連携事業者や出資者との取引・契約を対象として、スタートアップ向けの書面調査及び連携事業者・出資者向けの書面調査を行ったほか、書面調査の結果を踏まえ、優越的地位の濫用等が疑われる事案について、スタートアップ37社へのヒアリング及び連携事業者・出資者13社への立入調査を実施しています。
スタートアップは、「成長産業領域(例えば、AI、IoT、ビッグデータ等を活用するなど、今後、高い成長率が見込まれる産業を指す。)において革新的な事業活動を行う事業者のうち、創業して数年から10年程度であること、未上場企業であることと定義」されています。
概要資料より。
「NDA(秘密保持契約)を締結しないままの営業秘密の開示の要請」、「共同研究の成果に基づく知的財産権の一方的帰属の要請」、「出資者が第三者に委託して実施した業務の費用負担の要請」、「行使条件を満たさない株式の買取請求権の行使」などが、問題につながるおそれのある事例としてみつかったようです。
そのほか「多くの投資契約書案で経営株主等の個人に対する買取請求が可能な株式の買取請求権が含まれていた」、「買取請求権やその請求対象に個人が含まれることの意味をスタートアップに十分説明したとはいえない事例もみられた」とのことです。