G7(主要7カ国)の財務相会合で、法人税に各国共通の最低税率を定めることなどが合意されたという記事。
ポイントは2つあるようです。
「企業は現在、比較的法人税率の低い国に現地法人を設立し、そこで利益を申告することができる。これにより、利益の大半がたとえ他国での売上によるものであっても、現地の税率に沿って納税できる。これは合法で、一般的に行われている納税方法。
今回の合意には、2つの方法でこうした事態を防ぐ狙いがある。
1つは、企業に対し、最終的に利益を申告する場所ではなく、製品やサービスを販売している国の税率に沿ってより多くの法人税を支払わせるというもの。
2つ目は、法人税の引き下げ競争に歯止めをかけるための国際的な最低税率を設定するというもの。」
「この合意の「第1の柱」は、多国籍企業に事業展開している地域で納税させるというルール。これは、少なくとも利益率が10%以上のグローバル企業に適用される。
G7の合意文書(コミュニケ)によると、利益率が10%を上回る部分について、事業を実際に展開している国で20%課税できる。
...
「第2の柱」は、各国による法人税の引き下げ競争を避けるため、法人税の最低税率を世界全体で15%にするというもの。」
G7財務相会合共同声明の全文(日経)
法人税に関する部分。
「16.我々は、経済のグローバル化とデジタル化に伴う課税上の課題に対応するとともにグローバル・ミニマム課税を導入するために、G20/OECDBEPS包摂的枠組みを通じて進められている努力を強く支持する。
我々は、大規模で高利益の多国籍企業について10%の利益率を上回る利益のうちの少なくとも20%に対する課税権を市場国に与える、課税権の配分に関する公平な解決策に至ることにコミットする。我々は、新たな国際課税ルールの適用と、全ての企業に対する全てのデジタルサービス税及びその他の関連する類似の税制措置の廃止の間で、適切な調整を行う。
また、我々は、国別での15%以上のグローバル・ミニマム課税にコミットする。我々は、2つの柱について並行して合意を進めることの重要性に同意し、7月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議において合意に至ることを期待する。」
サステナビリティ開示についてもふれています。(これ以外にも気候変動について多くの項目でふれています。)
「4.我々は、財務上の意思決定において気候が考慮に含まれるよう、グローバル金融システムをグリーン化する必要性を強調する。これは、必要とされる何兆ドルもの民間部門の資金を動員し、ネットゼロへの我々のコミットメントを達成するための政府の政策を強化することに役立つ。
我々は、一貫した、市場参加者の意思決定に有用な情報を提供し、かつ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づく、義務的な気候関連財務開示へ、国内の規制枠組みに沿う形で向かうことを支持する。投資家は、気候リスクに関する、質が高く、比較可能で、かつ、信頼できる情報を必要としている。したがって、我々は、ベースラインとなるグローバルなサステナビリティ報告基準の必要性について合意する。
これは、各法域がこれに更に追加することができるものである。我々は、頑健なガバナンス及び公的監視の下で、TCFDの枠組み及びサステナビリティ基準設定主体の作業を基礎とし、これらの主体と幅広いステークホルダーを緊密に巻き込んでベストプラクティスを形成するとともに収斂(しゅうれん)を加速させて、このベースラインとなる基準を策定する、国際財務報告基準財団の作業プログラムを歓迎する。我々は、COP26までの国際サステナビリティ基準審議会の設立につながる最終提案に関する更なる協議を進める。」
「義務的な気候関連財務開示」というのは、「強制的」という意味なのでしょう。
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