三菱UFJフィナンシャル・グループと農林中央金庫が、三菱UFJニコスに約1000億円の追加出資を行うという記事。
「親会社の三菱UFJFGと大株主の農林中金の追加支援で、過去に借り手から取り過ぎた利息(過払い利息)の返還に備えた引当金を積み増すとともに、システム投資など営業面のてこ入れも図る。」
システム投資に使うというのは理解できますが、「追加支援で・・・引当金を積み増す」というのは理屈に合いません。支援の有無にかかわらず必要な引当金を積むべきでしょう。今まで十分な引き当てをしていなければ粉飾です。三菱UFJフィナンシャル・グループと農林中央金庫の決算にも影響する話です。
三菱UFJと農林中金、ニコスに1千億円支援(読売)
こちらはもっとひどくて「増資で得た資金で過払い利息の返還に備えた引当金を積み増す」と書いています。これでは露骨な利益操作です。
ニコスが1千億円の増資(産経)
こちらも「今回の増資に伴い、引当金を約700億円積み増して約1400億円とする」と書いています。一方で、「ニコスは年400億~500億円の過払いがあるが、今後減少するとみている」そうです。返還金額が減るのに引き当てを増やす理屈はあるのでしょうか(従来の見積りほどは減らないということか?)。
本日の一部報道について(PDFファイル)(三菱 UFJ フィナンシャル・グループ)
もっとも、まだ正式発表はなされておらず、新聞記者の勝手な解釈だと言い訳することはできます。
(補足)
24日に正式発表されました。
ニコス:1000億円の追加出資…親会社などから(毎日)
追加出資は「過去に取り過ぎた利息の返還に備えた引当金を積み増し、営業強化を図るため」だそうです。
引当金を積むのにキャッシュは不要です。過払利息返還のためのキャッシュが足らないから増資するというのであれば理解できます。
三菱 UFJ ニコス株式会社における「新中期経営計画」ならびに「株主割当による新株式発行」等の発表について(PDFファイル)
「・・・利息返還は引続き収益を大きく圧迫する要因となっており、今般策定する新中期経営計画を開始するにあたり、将来の潜在的収益圧迫要因を一掃するべく、利息返還費用への充分な引当金を計上することといたしました。 」
今までも「充分な引当金を計上」しているはずですが・・・。
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