みずほフィナンシャルグループが巨額減損損失を計上するという記事。固定資産の減損とはいっても、大きいのはソフトウェアです。
「みずほが発表した損失6800億円の内訳は、固定資産の減損損失約5000億円、市場部門の米国債の損失計上約1800億円。固定資産の損失のうち、リテール部門にかかわる次期システムも含めたソフトウエアが4600億円、店舗統廃合が400億円と説明する。
店舗の統廃合に伴う損失は、三菱UFJや三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)が18年3月期にすでに計上を済ませ、みずほが追いついてきたかたちだ。ソフトウエアの減損は現在、統合を進めている次期システムがほとんどだという。来年度から生じる年間800億円規模の償却負担を軽減することになる。」
みずほFG:今期純利益予想800億円に減額-損失6800億円計上(ブルームバーグ)
「格付投資情報センター(R&I)の久保太郎チーフアナリストは、みずほFGも含めた国内行全体でリテール事業の収益性が低下しており、それが長期化していることが大きな問題と指摘。「今回の固定資産の減損は、会計上それを全面的に織り込んできた」とみている。特にソフトウエアや店舗の件で減損損失の金額が大きく、来期以降、費用減少で利益の上振れ要因となるかもしれないと話した。」
この見方のとおりだとすると、ソフトウェア自体の問題(例えば大幅な予算超過、重大な不具合など)ではなく、ソフトウェアが使われる事業の収益性が低下したことによる減損処理ということになるのでしょう。
「同日会見した坂井辰史社長は、今回の取り組みは社長就任時に掲げた構造改革につなげるための「反転攻勢」であるとしながらも、収益については事業環境の不透明感から「決して楽観視はしていない」と述べた。ただ、損失を計上することで収益の質が上がることになり、「来年度以後の安定配当に向けてかなりの手応え」を感じていると語った。」
利益操作的な損失計上のような印象も受けますが...。
銀行のプレスリリース。
↓
構造改革への取り組みを踏まえた損失の計上と業績予想の修正に関するお知らせ(みずほFG)
「① 固定資産の減損損失(約5,000億円)
当社グループは、2016年度に導入したカンパニー制の運営定着を進めると共に、それを支える管理会計についても、鋭意高度化に取り組んで参りました。これにあわせ、今般、固定資産の減損会計の適用方法についても、管理会計の高度化に対応して見直しを実施致しました。
また同時に、次期経営計画の策定過程において、各事業部門の将来の収益計画や店舗戦略等の見直しを進めております。これらを踏まえた結果、国内リテール事業部門に帰属するソフトウェアや閉鎖予定店舗等の固定資産について減損損失を特別損失として計上する見込みです。」
減損会計の適用方法の見直しという説明では、具体的にどういう見直しがなされたのかがわかりません。不十分な説明だと思います。
後の方の理由は、収益計画の見直しとか店舗閉鎖ということで理屈は通りそうですが、それも、なぜ、今見直すのか、収益見通しの作成方法が継続しているのかなど、疑問点はあります。
有価証券の損失の方も、理由がいまいちです。
「② 市場部門の有価証券ポートフォリオ再構築等に伴う損失(約1,800億円)
金融市場における不透明感が高まる中で、より安定的な収益構造と、事業環境の変化に耐えうる強固な財務基盤の実現を目指す上で、市場部門において過去に投資した外国債券等の有価証券ポートフォリオを再構築致します。
また、デリバティブ取引のカウンターパーティーリスク等を時価評価に反映させるためにデリバティブ評価方法等を精緻化致します。
これらに伴い、経常費用に含めて上記に係る有価証券売却損等を計上する見込みです。」
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