日本公認会計士協会は、経済産業省資源エネルギー庁から公表された「原子力発電所の廃炉に係る料金・会計制度の検証結果と対応策(案)」に関して提出した意見をウェブサイト上で公開しました。
マスコミで比較的大きく取り上げられている廃炉時の会計処理については以下のような意見となっています。
「生産を終了した設備については減価償却を継続せず、除却(減損)処理をすることが通常の会計処理と考える。廃止措置資産に係る減価償却を継続することは、我が国の原子力政策を遂行する上での電気料金による回収可能性を踏まえた特別な取扱いであると考えられるため、電気事業会計規則で明確に規定するとともに、財務諸表での情報開示の充実が望まれる。また、レートベースに含めないこととなった場合には、減損処理を検討すべき状況になるという理解でよいか、確認したい。」
冒頭で除却または減損処理すべきといっているのに、結論としては、経産省が提案し、東大や一橋大の学者が容認した粉飾的会計処理を認めるような意見となっているのは残念です。
「電気料金による回収可能性」といっていますが、日本の電力会社の販売電力量のうち約6割は自由化されているそうです。減損損失や廃炉費用を電力料金を認可する際に加算するかどうかは政策の問題ですが、そもそも規制され認可が必要な電気料金が適用されるのは一部にすぎず、電気料金の算定に含めたからといって規制された料金として確実に回収されるわけではないのですから、特別な扱いを認めることは不適当です。(そもそも、料金として回収されるとしても、それを会計処理と結びつけるべきかどうかは、十分検討されていないようです。)
電力自由化FAQ(経産省)
「自由化範囲の利用者は、価格などの条件を含め、利用者と電力供給者(電力会社または特定規模電気事業者)間の相対契約を行うことになります。」
自由化の範囲とスケジュール(経産省)
「小売り分野では、2004(平成16)年に、電力需要全体の約4割に小売り自由化の範囲が拡大され、さらに2005(平成17)年4月からは同6割強まで拡大されました。」
IASB公開草案「規制繰延勘定」に対する意見について(日本公認会計士協会)
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