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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

中国で起こった「史上最大の粉飾決算」…計12兆円もの粉飾が発生した「まさかの背景事情」(現代ビジネスより)

(前編)中国で「ゴーストタワマン」が増えている…誰も住みたくない田舎にタワマンが建つ「驚きの理由」

(後編)中国で起こった「史上最大の粉飾決算」…計12兆円もの粉飾が発生した「まさかの背景事情」

碧桂園、恒大集団といった中国の巨大不動産会社が苦境に陥っている背景を解説した記事。

「1月14日、碧桂園は公表を先送りしていた2023年通期、2024年上半期の決算を発表した。2024年上半期の売上は1021億元(約2兆2000億円)、前年比55%減と大きく落ち込んだ。最盛期と比べると、ほぼ3分の1にまで減少してしまった。」(同社の決算については→当サイトの関連記事

習近平政権は、2024年に打ち出した新型都市化と呼ばれる新政策で、中規模の都市を大きくする方針をとったそうですが...

「新型都市化によって中西部の都市の住宅需要が増加するはず。そうした思惑から住宅建設が進められた。東部とは違いなかなか不動産価格が上がらず資産を増やせていなかった中西部の住民たちにとっては千載一遇のチャンス到来と、不動産投資が一気に拡大した。

ただ、中国の新型都市化は戦略を大きく間違えていたと言わざるをえない。というのも、多くの人々は単に「都市に住みたい」のではなく、「北京や上海のような大都市に住みたい」と考えている。ハコだけ作ってもそれに見合うだけの需要はない。...

実際には人口の移動・定着が思うように進まず、更には将来的な人口減少が予測されるにも拘わらず、住宅建設は主に中小の都市に集中してきた。」

「この問題に関して、上海交通大学教授の陸銘は、中国政府が進めてきた都市化政策が、中小都市の建設にこだわるあまり、大きな非効率を生んでいることを指摘し、それを「低密度の都市建設」と名付けている。

中国全土で見ても東部よりも後進地域の中西部を重視したという意味で低密度の開発であった。加えて、地域レベルで見ても人が多い都市近郊よりも郊外の開発を優先するという低密度の開発であった。交通の便が悪い、不便な場所にタワマン団地を作りまくっていたのだ。」

「新型都市化の波に乗って成長した碧桂園。一時は大成功を収めたが、そもそも住みたい人がいない不動産を作りまくっていたという致命的な欠点があった。これを放置していればバブルのリスクが高まると懸念した習近平政権は不動産産業の野放図な発展を抑止する規制を2020年に発表、これが引き金となって碧桂園と中国不動産産業の転落が始まった。」

また、従来、旧市街地再開発では代替住宅の提供により住民に立ち退いてもらうという方式だったのが、2015年からは現金補償が中心となったのだそうです。そこに巨額のマネーが投下されます。

「現金補償の資金源となったのが、中国人民銀行による融資である。2014年末から2020年2月までに3兆6704億元(約80兆円)が供給され、その大半が現金補償に充てられた。

旧市街地再開発の追い風を受けて成長したのが新興の民間デベロッパーだ。不動産不況において、真っ先に経営危機が表面化した恒大集団、続いて危機に陥った碧桂園はその代表格である。」

しかし、旧市街地再開発特需はあっという間に終わったそうです。

恒大集団の粉飾については、グラフが載っています。オレンジが売上の粉飾額、折れ線グラフは、旧市街地改造着工数です。

(現代ビジネスより)

「これほどの粉飾決算が当初は見逃されていたというのは衝撃的だが、実際の売上の推移を見れば納得感がいく。図を見る限り、恒大集団の売上額と旧市街地再開発着工数の推移は連動している。

2019年に着工数が減少すると、それにともない売上額も減少し、同時に粉飾が始まっている。旧市街地再開発が始まると売上が伸び、縮小に伴って減少したシンプルな関係だ。」

こんなシンプルな関係を、恒大集団の監査人であるPwCは見逃していたということでしょうか。売上の推移だけ見て、前期とほぼ同じだから大丈夫だろうと安心してしまったのかもしれませんが。

当サイトの関連記事(中国PwCへの処分など)

この本から取った記事のようです。

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